西郷の首
西郷の首 / 感想・レビュー
starbro
伊東潤は、新作中心に読んでいる作家です。タイトルから薩摩藩の話と思いきや、加賀藩の下級武士の物語でした。幕末から明治維新は、特に大藩にとって凄まじい社会の変化だったんでしょうね。読み応えは抜群ですが、『西郷の首』というよりも『大久保の首』ではないでしょうか?来月、金沢に小旅行に行きますが、これも何かの縁かも知れません。
2017/10/11
鉄之助
西南戦争で西郷の首を見つけた千田文次郎。「もう武士の時代には戻れぬ」ことを実感する。大久保利通を暗殺した島田一郎とは、同じ加賀藩士で竹馬の友であったとは! これまで明治維新史からあまり注目されていなかった加賀藩士の生きざまが、鮮やかに蘇った。「草莽の屍が重なりに重なって」明治維新が成った、という。維新の志士の無数の「死」は無駄ではなかったのか? 読後も、いまだに考えさせれている。本編472ページのうち、「西郷の首」が出てくるのはたったの12ページ! しかし、ドラマチックで読み応え充分、満足の1冊だった。
2023/12/27
ナイスネイチャ
図書館本。加賀藩足軽下級武士、島田一郎と千田文次郎。西郷隆盛の首を見つけた人物と大久保利通を殺害した人物が加賀藩の親友で維新の動乱を生き抜く物語。西郷の首を見つける事で武士の終焉を迎える。それでも武士としての生き様、死に様を探りながら二人は生きていました。この時代の混乱を丁寧に描いてました。
2017/11/04
Die-Go
図書館本。明治の元勳・大久保利通を暗殺した男・島田一郎と、同様に元勳である西郷隆盛の首を西南戦争で発見した男・千田文次郎の二人の旧加賀藩士の友情と幕末から続く激動の時代の変遷を描く。明治政府に対する不平士族の熱の矛先がいかに集約されて、一郎の行動へとつながっていったのかが、よくわかった。二人の友情が切なくなる最後だった。★★★☆☆
2018/05/22
修一朗
明治維新の際,悲惨な内ゲバにより根絶やしにされ一人の人材も輩出することができなかった水戸藩の運命を嘆いている茨城県人なのである。百万石の雄藩加賀藩も早い時期から薩長方に与しながら,粛清で一人も人材を輩出できず,維新の負け組になった。天狗党藤田小次郎と島田一郎が敦賀で邂逅したところで涙ぐんでしまう。大久保利通が江藤源作を見たところに歴史の奇跡を感じる。西郷本人はほとんど出てこないにもかかわらず,武士の時代の終焉を描く島田一郎と千田文次郎の物語はこのタイトルでなければならなかった。感動した。今月のベスト。。
2018/05/15
感想・レビューをもっと見る