異形のものたち
異形のものたち / 感想・レビュー
starbro
小池真理子は、夫婦共々、新作をコンスタントに読み続けている作家です。著者の怪奇譚は、先日の『怪談』に続いて2作目となります。そこはかとない怖さを感じる怪奇短編集、オススメは『日影歯科医院』と『緋色の窓』です。
2017/12/16
🐾Yoko Omoto🐾
私に霊感は無い。この世で一番恐ろしいものは人間だと思っているし、所謂非科学的と言われるものは見たことがない。が、そんな私でもまだまだ家の周りに自然が多く残っていた子供時代、辺りに不思議なほど人影が無く、自分を取り巻く全ての音が一瞬消えてしまったかのような、ゾワゾワと総毛立つ"間"を幾度か経験したことがあると、ふと思い出した。あれはもしかして、あの世とこの世を結ぶ道を何かが通った瞬間だったのではないか・・そんな風に思わせる、不思議で奇妙で怖気が立つ6つの物語。各編、主人公たちが体験したゾッとする怪異が、➡続
2018/03/25
風眠
ぎゅっと絞ったら、とろりとした液体が滴り落ちてきそうな太陽。何重にも響く蝉たちの声は、うんざりするくらいに降り続けている。じっとり湿気った真夏、昼下がり。飾る言葉を削ぎ落とした淡々とした描写であるにもかかわらず、物語の風景に色を感じさせ、熱を感じさせ、音を感じさせる。小池真理子の文章は、物語の中の真夏を読者に実感させる。異形のものとしてこの世を彷徨う死者と、ふとすれ違ってしまう時。死者の業と生者の業が、重なり合うように共鳴する。まるでアンティークの宝石みたいに、いわくありげに妖艶で、幽けく光る幻想短編集。
2018/04/15
nuit@積読消化中
薄ら寒くなるようなものもあれば、なんとも言えない余韻を感じさせる、女性作家ならではの視点で語られる安定した怪談作品が6編。個人的には「山荘奇譚」の山深い山荘の雰囲気が好みなので、こちらを掘り下げた長編が読んでみたい。
2018/03/08
いつでも母さん
幼い頃、親戚の家に泊まった時、夜中にトイレに行くのが怖かったのを思い出した。長い廊下を一人歩くとき窓に映る自分の姿に驚いたんだ。ひっそり夜のしじまから湧いてくる形ないモノに飲み込まれそうに感じたんだーそんなゾワッとする読後感。甘く冷たい異形のものたち短編6作。どれもすーっと入って行ける。好みは『日影歯科医院』『ゾフィーの手袋』大人の方が実は怖がりなんだ。心に疾しさがあるからね。そんなことも感じた。異形でもいい。感じたい。逢いたい・・
2018/01/18
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