モリアーティ (角川文庫)
モリアーティ (角川文庫) / 感想・レビュー
W-G
面白かった。内容が内容だけに、さすがに今回は財団公認ではないようだ。有栖川有栖氏の売り文句が秀逸で、まさに「期待に応え、予想を裏切る」ストーリーになっている。結末は、物語途中から、もしかしたらそういうこともあるかな?と思わせるもので、意外性抜群というわけではないが、そうであったら面白いなという、期待値がいやでも高まる展開なので、ほとんどの読者にとって大歓迎ではないだろうか。併録の短編も、とても"らしさ"があって良い感じ。今までこの手のパスティーシュがなかったことの方が意外なくらいなので、アイデア勝ち。
2018/05/21
ヴェネツィア
アンソニー・ホロヴィッツによるホームズ・インスパイア作品の第2弾。今回は『4つの署名』などに登場する、スコットランド・ヤードのジョーンズ警部。ワトソンには散々な書かれようのようだが、今回はなかなかに敏腕かつ勇猛、誠実な警官ぶりを見せる。すっかりホームズ役である。ワトソン役を務めるのはアメリカからやってきた探偵社の調査員、チェイスである。モリアーティの死体検分に幕を開けるが、終盤までは、もっぱらデヴァルー一味との攻防である。読者(少なくても私)は20「外交特権」の最後で、えっ、何故?と意表を衝かれるのだが⇒
2024/11/07
Tetchy
大胆不敵にも作者はホームズとワトソンを一切登場させず、脇役であり道化役だったスコットランド・ヤードの一警部アセルニー・ジョーンズとアメリカから来たピンカートン探偵社の調査員フレデリック・チェイスを物語の主人公に据えた。いわば彼はホームズシリーズにおける「しくじり先生」なのだ。そしてホームズに頼ってきたスコットランド・ヤードの警部が物語の中心になることで警官たちのこれまでホームズという奇人に対して募ってきた本音が描かれるのである。そしてこのしくじり先生は実に奮闘するのに、まさかこんな結末を迎えるだなんて…。
2020/09/01
ナルピーチ
ホロヴィッツ版ホームズ第2弾、本作にはホームズもワトスンも登場しない。“ライヘンバッハの滝”でホームズとモリアーティが雌雄を決し、滝に落ちた数日後から物語が始まる。本作の主人公はアメリカからやって来た探偵事務所の調査員とスコットランドヤードの警部だ。正典ではホームズの咬ませ犬的な役割が多かったスコットランドヤードの警部達だが本作では難解な事件にどのように挑んで行くのかは楽しめる要素である。最後にタイトルの『モリアーティ』が意味することとは何か?読み終わって待ち受けた驚愕の事実に驚きを隠せない。
2020/09/13
KAZOO
前作「絹の家」に引き続いて読んでみました。前作がワトソンの視点から見たものでしたが、今回はアメリカのピン・カートン探偵事務所の所員が出張ってきてライヘンバッハの滝の場面から始まります。私は比較的はじめの方でこの本の謎の筋が大体わかりましたが、このような持っていき方もあるのだなあという感じで楽しめました。昔ながらの推理小説です。この作者の次の作品も読んでみます。
2019/06/15
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