虚栄 下 (角川文庫)
虚栄 下 (角川文庫) / 感想・レビュー
まこみん
医療が進歩している様で未だに判っていないがんの本質。外科の雪野は執刀しながらもがんに個体差があるとは感じていた。赤崎は自ら捏造したデータの論文で身を滅ぼす。首相の急逝に寄りプロジェクト凍結、代わりに「突然死0プロジェクト」へ。それは今までの争いが脳・心臓・メタボリックシンドロームチームへ様変わりしただけ。医学の虚栄を巡って、高額の医療機器を売り込む企業、製薬会社、献金を受ける政治家、そして誇大に持ち上げたり貶めるメディア。17ページにも及ぶ参考文献凄い。
2020/05/31
アッシュ姉
久坂部さん13冊目。がん治療の現状や問題点など分かりやすく理解できて、今後のあり方について考えさせられた。『悪医』とともに一読をオススメしたい作品ではあるが、がんと向き合う心構えや勇気をもらえるというよりも、希望や幻想を打ち砕かれて不安が大きくなるかもしれないので万人向けではない。真がん偽がん、放置療法、がん凶悪化の理由など興味深い説に引き込まれたが、現実味があり過ぎてちょっとめげる。小説として読むなら『廃用身』『破裂』のような突き抜けた久坂部節の方が楽しめて好き。
2018/06/29
五右衛門
読了。上下巻通じて医療の最先端のトップの方々の独占欲、傲慢さばかり際立ち、がん治療は?二人に一人はがんになる時代で患者置き去り、ありそうな設定で寂しいような、怒りが湧いてくるような感じがしました。終盤にけれど医療、特にがん治療は解らないことが多いと言う事が解ってきた所で現代の医学ではここまで、って言われ案外ストンと落ちた様な気がしました。病気と闘うのも一つの手段、すべて受け入れるのも一つなのですね。けれど調子悪くなって受診した時に不安しか無いのでもう少し患者の気持ちもわかってくれる医師に当たりたいな~
2019/05/22
坂城 弥生
医者でも人によって言っていることが違っている。それはハッキリわかっていないから。ならば医療を受ける側が自分で納得した方法を選ぶしかないんだろうな。
2021/08/19
Yosshiy
癌治療の選択肢として手術、抗ガン剤治療、放射線療法、免疫療法、保存療法とあるがどの治療にも一長一短があり、ならば各科が連携し合って最善の治療してくれれば良いのだろうが、そう言うものでもない世界なのだろうと思わずにはいられない内容。患者の為の医療であり治療であって欲しいのだがなぁ。著者は現役の医師だけにリアルですね。虚栄というタイトルぴったりの作品でしたが、生死を扱う世界だからこそ虚栄心のない現場であって欲しいと願う。
2018/09/14
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