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浮雲 (角川文庫)

浮雲 (角川文庫)

浮雲 (角川文庫)

作家
林芙美子
出版社
KADOKAWA
発売日
2017-10-25
ISBN
9784041061534
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浮雲 (角川文庫) / 感想・レビュー

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ネムル

敗戦後の虚無文学。林芙美子の吹けば飛ぶよな虚無たい心象はこの作品に限らないが、『放浪記』なんかはアナーキーかぶれな奔放な文体が虚無癖を支えているのが魅力的だ。一方の本作では仏印でのカラフルな記憶が、戦後の鬱屈とした戦後の陰画になっているのが面白い。とはいえ、奔放さがないぶん虚無の度合いも強く、大変苦しい読書だった。成瀬の映画はすごく面白かったような気がするが。

2021/04/01

conyTM3

桐野夏生さんの「ナニカアル」を読んで興味が湧いた林芙美子。 「放浪記」は読みづらくて途中リタイアしましたが、この作品はサクサク読めました。 敗戦の色が徐々に見え始めた頃、仕事で渡った仏印(フランス領インドシナ)で出会った男女が戦中戦後の特殊な状況下で空虚な心を埋める術として恋愛するというお話。 浮気性のしょーもない男としょーもない女がグダグダやってて途中イラつきましたが、最後の方になるとお互いのしつこさに逞しさすら覚えました。 市が提供を始めた電子図書館を初利用。

2024/01/18

ochatomo

高峰秀子さん主演の映画を観て大泣きした原作 戦中戦後の混乱を舞台に男の浮気な心情とすがる女の哀切が延々描かれ、人生に意味はないことを突きつける 著者が従軍記者として見聞したであろう南方の自然描写が彩りとなり、引用文学による格調もあって、板垣直子氏解説のとおり「芸術感情に厚みがあって、読み終わると強い迫力に捉えられる」 初出1949年「風雪」連載 底本1955年 改版2017刊 カバー装画てぬぐい“キンモクセイづくし”(かまわぬ)

2018/02/28

田中峰和

妻がありながら常に別の女を求める富岡を愛し続けるゆき子。映画では高峰秀子が演じていたので美女のイメージだが、原作では醜女のようだ。そんな女の深情けが全編を貫いている。ベトナムでタイピストをしていたゆき子は、富岡に翻弄されながら、帰国後は離婚して、自分と再婚してもらえると彼の家を訪ねたら奥さんがいた。富岡を詰りながらも関係を続けるゆき子。義兄と不倫関係になって3年、ベトナム渡航の結果も、富岡と不倫。帰国後は米兵の愛人になって、まともな男との恋愛を諦めている。無責任でドンファンの富岡以上にゆき子にいらついた。

2024/09/25

バーベナ

まだ敗戦の兆しもなく、豊かなベトナム:ダラットで出会ったゆき子と富岡。終戦後、たくましく生きていくのかと思いきや富岡と再会してから、流浪するゆき子。彼のどこがそんなによいのよ~と思いながらも、ゆき子が望んでいることなのだから・・と切なく思う。

2018/01/08

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