いい部屋あります。 (角川文庫)
いい部屋あります。 (角川文庫) / 感想・レビュー
モモ
鳥貝は大学進学のため上京し部屋を探すも、なかなか良い物件が見つからない。あせる鳥貝は学食で「いい部屋」を紹介されるが、そこは普通の物件ではなかった。縁がある人とは人生のどこかの場面で出会うことになっているのかもしれないと感じた。思いもかけない話の展開にひきこまれた。鳥貝の得意料理で炒めた野菜を敷き詰めた皿に、豆乳を加えた卵液を入れてオーブントースターで焼くオムレツを作ってみたい。
2020/08/15
エドワード
N県から東京の大学へ進学した鳥貝は、ある男子寮を紹介される。西洋の城と見紛う寮、料理番をすれば家賃月三万円の「いい部屋あります。」部屋は五つ。安羅、時屋、白熊、多飛本と妙な姓の学生たち。空き部屋の前の住人・百合子(姓だよ)にいきなりキスされる鳥貝―長野作品のお約束事だね。初々しい鳥貝のプレ大学生活、学生たちとの交流、実は養子である過去が平行する物語。郷里へ戻った鳥貝の出会う喫茶店のミハルさんとは?百合子はなぜ鳥貝に迫るのか?数々のエピソードが収束する時、夢のようなプロローグの謎が解け、幸福な終幕が下りる。
2022/01/04
たぬ
☆3.5 鳥貝君のメンタルが心配になる。まだ17歳で勝手のわからない東京で、住む場所がなかなか決まらず不安でたまらないだろうにわけのわからないことを言われたり男色に誘導されたり。さらには自分の出生の秘密まで。私が鳥貝君だったら大学から遠くなってもいいから絶対にここには住みたくない。ミハルさんら大人たちが真人間揃いだったのが救い。
2021/11/27
小夜風
【所蔵】単行本「白いひつじ」(未読)を改題文庫化したものだそう。あらすじと帯を見て凄く面白そう!と思い、最初の方でクセのある人物が次々と出てくることから、「フルバ」みたいな壮大な物語になるのかな…と一瞬感じましたが、物語が始まる前に終わってしまったような、この一冊まるまるプロローグだったような印象で、もう少し先まで読んでみたかったです。同じ歳の息子がいるので思わず「うええ~止めてっ!」と声に出たくらい拒絶も感じました。そういうの無しでも充分面白いのに、何か勿体ない。面白かったけれど共感は出来ませんでした。
2017/11/03
糸巻
文庫化により再読。『白いひつじ』改題。カバーイラストが綺麗だ。それだけで手に取ってしまう。男子大学生たちが住む古い洋館に、やむを得ずやって来た主人公の鳥貝。そこで出会う自分と指して変わらない歳の男たちがくせ者ばかりで翻弄される。彼らの間で交わされる会話が、あやしげだが洗練されていてなぜかときめく。(自分びーえる好きなのか…?)入寮を決め、一度実家に帰る辺りから鳥貝の出自に触れられていき、謎めいたプロローグが関わってくる。ああ鳥貝、皆に愛されているなぁ…。素敵な寮での暮らし、もっと読みたかった。
2018/08/27
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