悲しい話は終わりにしよう
悲しい話は終わりにしよう / 感想・レビュー
ちょき
意味のある人生とは何かを教えてくれるあるいは考えさせてくれる小説。つらく重い話を、主人公の一人称で「表現」という名のオブラートに包んで、やさしく読者に教えてくれている。市川くんと吉岡さんが、つらい経験と悲しみを乗り越えて快活な未来を獲得してくれることを願ってやまない。あと沖田さんと晃さんにも。と、登場人物に言ってしまうほどに感情移入してしまったが、独特で味のある叙述表現はけっこう好きかも。プチ「ノルウェーの森」級。もっと人気が出ていいと思う。
2018/04/15
千穂
中学生と大学生の話が交互に進む。どちらも爽やかさからは少し離れていて、読み進めるのが辛くなっていく。物語かなり後半で佐野と市川、同一人物では?と気づく。それぞれに抱えているものはあるよなぁ〜前向きになれそうなエンディングでホッとした。沖田さんはどうなったのかな?
2019/07/28
テツ
舞台が長野県の松本市。信州大学ということで設定が個人的に馴染み深い。大学生と中学生。二人の語り手が交互に繰り返し人生を語る形の青春小説。悲しみ苦しみ。そして孤独はどんな人の中にでも渦巻くものだし青春時代という明るく輝く時期だからこそその痛みを鋭く感じるんだろうけれど、痛みにしゃがみこんでいるのではなくその先にある誰かの手を取ることの大切さ。無理のない形で生まれる明日を生きるための希望。新生活が始まるこの季節にぴったりなお話でした。
2018/03/30
よっち
生まれ育った松本から出ないまま怠惰な大学生になった市川が、大学で知り合った数少ない友人の広崎と吉岡さん。周囲はどんどん変化しても、過去に縛られずっと動けずにいた彼の出会いと変化を描く青春小説。音楽に傾倒していく広崎との友情と三人の複雑な関係。並行して描かれてゆく中学時代の親友・奥村と初恋の相手・沖田さんのエピソード。苦い後悔はそう簡単には払拭できないでしょうけど、そんな現状から抜け出すきっかけとなる運命の出会いがあって、大切に思ってくれる人がいて、乗り越えようと前を向く結末にはぐっと来るものがありました。
2017/12/24
信兵衛
小嶋さんが本作で新たな境地に足を踏み出したことは評価したい。今後に期待です。
2017/12/19
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