火の鳥8 乱世編(下) (角川文庫)
火の鳥8 乱世編(下) (角川文庫) / 感想・レビュー
活字スキー
【オイラァおめえをたたッ斬って、ブッちぎって、ふんづけて小便かけて、こやしにしてやりてえ!!】シリーズ8巻、手塚治虫の平家物語・後編。清盛の死を受け、ついに動き出した源氏勢。木曽義仲の軍勢が都を蹂躙するが、その天下は儚く、同族であるはずの義経に呆気なく都を追われ、無惨な最期を遂げる。武士の時代。血で血を洗う暴力の時代。力無きものは情け容赦なく斬られ踏み潰され焼き払われてゆく。合戦そのものより、その前後や周辺で吹き荒れる不条理の暴風のすさまじさ。人間ってバカだと思わない?
2019/03/31
紅香@本購入まであと9冊
清盛が死に、義仲が死に。平家が滅び、義経が死ぬ。。政権を巡って、意地を張って、それが何だというのかと苦々しい思いが浮上する。『じゃあなんでいくさがあるだ。いくさなんて勝手にサムライがつくったものでないの』『平氏を滅ぼすためだ。滅ぼさなければ おれたちの時代はこない』『ほれ見ろ、サムライが自分の都合のために決めたこった』冷酷非常な義経が描かれたりと大河ドラマを彷彿とさせるキャラクターと内容だった。火の鳥は目を瞑っていたい人間の滑稽さを時を超えざまざまと見せつけさせ、内省させられる。
2022/06/09
阿部義彦
マンガ少年にて私の高校時代に連載されていたのでリアルタイムでは部分部分は読んでたような記憶はありましたが、こうしてまとめて読んだのは初めてかも。牛若丸と弁慶を横糸に、源氏と平家の争いを縦糸に素材として全く独創的に料理して、そしてそこに家族の絆やロマンスまで絡ませて愛憎劇に仕立てて、最後には輪廻転生の無常観まで盛り込み、壮大なスケールの物語にしていてとても人間業とは思えませんでした。巻末で日本のアニメはドラマ重視で実験性が無いと嘆いてますが、そのドラマ作りの張本人が手塚さんでは?なんて思いました。悶絶もの!
2018/10/07
gtn
義経を徹底的なヒールに、弁慶を徹底的なヒューマニストに仕立て上げた本編。胸がすく。史実は、兄頼朝に討たれた義経。実際、著者が描くとおりの人物だったかもしれない。民を顧みないスタンドプレーは要らない。
2023/11/25
かもめ(甘き絶望)
引き続き、源平合戦を舞台とした火の鳥・乱世編。京都の山奥で生計を立てていた好青年の弁太は、諸処の事情によって、いいなずけのおぶうと離れ離れになる。物語は、平氏と源氏の争いの中で、この2人の悲恋を主軸に進行する。てゆっか、乱世編だけあって、戦乱の描写ばかり!そんでもって、人がすぐに人を殺し過ぎる。といっても、マンガなので、ありなんだけど。それゆえ、弁太の人生が不条理きわまりないと思った。あと、なんで、この時代に電話で武将がやりとりをするのだ?とか思ったけど、マンガなのであり。総評としては、5段階評価3.4点
2022/04/17
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