蟻の菜園 ‐アントガーデン‐ (角川文庫)
蟻の菜園 ‐アントガーデン‐ (角川文庫) / 感想・レビュー
ノンケ女医長
父親は、妻との間に2人の娘をもうけた。夫婦に恋心があり、出産を喜んだと信じたい。実際はそうではなかった。出生届を出さず、酒浸りで娘に愛情を注ぐことはなかった。服従を強いた。鬼畜と言っていい。必死の思いで親元を離れ、妹との別離を悔いる早紀の苦しみは、本人にしか分からない。手を差し伸べようとする行政や、社会正義に基づいた信念なのか、出版物にしようとする周囲の存在に強い嫌悪感があった。タイトル「蟻の菜園」は、被虐待者の私にとって、全く理解できなった。さて、著者はどうやってベゲタミンAの存在を知ったのだろうか。
2023/03/11
のり
結婚詐欺・殺人の容疑がかかった女に興味を抱いたフリージャーナリストが足跡を辿る。容疑者には完全なるアリバイがあったが、協力者の助言や引っ掛かりを元に解明の糸口を見つける。それは鬼畜の犠牲者達。あまりにも痛々しい。善意で行った事も悪意の下ではマイナスに傾く。児童養護施設も経過観察はしなかったのか?無戸籍児という扱いだけでも許される行為ではない。姉妹の絆は本物だが、それすら方向性を失った悲しすぎる事実。
2020/04/12
mariya926
カドフェス2019にあったので読んでみました♪柚月裕子さんの本を読み終わると何かやり終えた気になるんですよね(笑)今回は結婚詐欺殺人事件で逮捕された美人の記事を書くためにライターの由美調べ始めます。最初はライターがここまで調べに来たら加害者や被害者の周りの人は本当に大変だなと思いつつ読んでいましたが、過去に触れ始めてからは一気読みでした。今の時代だったら戸籍法とかあるので難しかったはずのミステリーですが上手いです。読者にもバレないように上手いこと持っていくのがさすが柚月さんだと思います。
2019/09/24
ふじさん
代表作「盤上の向日葵」同様に、松本清張の「砂の器」へのオマージュが濃い作品。首都圏連続不審死事件を題材にした作品だが、さすが柚月は、単なるゴシップ事件では終わらせない。フリーライターの由美は、円藤が起こした事件に興味を覚え、取材を始める。円藤の過去を追う中で、30年前に起きた失踪事件に辿り着く。過去と現在の事実が交互に描かれ、真相が少しずつ明らかになった行く。そこには、姉妹の筆舌に尽くし難い人生がある。読み手を最後まで引き付けて離さない面白さと思いもよらない展開もあり、さすが柚月裕子だと思わせる作品。
2022/06/07
りゅう☆
結婚詐欺容疑と複数男性殺害に関与の疑いで逮捕された冬香。この事件の真実を追求するライター由美。一方、北陸で12歳の姉が父を刺し行方不明に。その車中から妹が発見。この姉妹は父から虐待を受け続けた無戸籍児。妹の心の支えは姉だけなのに。12歳の時に妹と出会った私とは一体誰?そして姉妹への虐待の日々が描かれた四章は読むのが本当に苦しかった。最低極まりないクソ親父。てめーなんて死んじまえ!と何度心の中で叫んだか。過去と現在、交互に物語が進む。そして微かな繋がりが見えた北陸と冬香。坂を転がり落ちるような事件の真相に→
2020/08/05
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