隠居すごろく
隠居すごろく / 感想・レビュー
いつでも母さん
人生はすごろく。一枚目は家業の繁栄代替わりまで。もう一枚は隠居してから。これは隠居してからの話。商いの成功よりも自分の短い老い先の中でささやかな家族の姿に、何とも豊かな景色が広がる。そんな徳兵衛の気づきを西條奈加さんが平成の終わりに教えてくれた。本当に人生は『上がり』のないすごろくなのだなぁと、この年になると感じる。自分一人で大きくなったわけじゃない。私の前にも後ろにも『道』はあるものね。この孫・千代太の様に私の縁続きの者(血縁とは限らない)がどんな道を歩くのだろうか。そんなことを思った。
2019/04/27
ひさか
公明新聞2017年6月1日〜2018年5月31日連載のものに加筆修正し、2019年3月角川書店刊。徳兵衛の第二の人生である隠居生活を二つ目のすごろくに例えて語る、江戸人情お仕事ストーリー。少し、ごちゃごちゃした話ではあるが、工夫があって楽しめる。
2020/08/09
初美マリン
癇癪持ちの隠居の第二の人生を孫の成長と共に描く、上手く行き過ぎかとも思いましたが、とても心地良い読後感です。
2019/07/17
とろとろ
江戸時代、ある問屋の主人が隠居したことから、その周囲で次々に事件が起こるっていう話。その中で当時の商いの機知が随所に見えて、とても面白かった。この作家さんの場合、最後の数ページで一気に事が好転するというのではなくて、物語の後半から話が徐々に好転していくのが何だかとても嬉しいというのか楽しいというのか読みやすいというのか、読者のツボをおさえ要点をよく掴んでいるような気がする。おかげて一気読みだった。以前に「無暁の鈴」を読んで、やはりこの作家さんの得意分野はこの辺りなのかなと思う。安心して読めた。面白かった。
2019/07/24
Makoto Yamamoto
徳兵衛が人生の上がりだと思っていた隠居生活が、まさか「第二の双六」の振り出しに。 現役時代はわき目も振らず商売に勤しみ、次世代の息子に任せての隠居。 無趣味だった徳兵衛には他の隠居がすることに興味を持てず、暇を持て余す。 ここに孫がやってきて動き出す。 隠居すごろくの始まりに。。。 展開もよく、面白く読ませてもらった
2020/11/15
感想・レビューをもっと見る