予言の島
予言の島 / 感想・レビュー
W-G
読書メーターで見かけ、評判良いようなので購入。予言や島の因習など、作中でも言及あるように、横溝/三津田系譜の世界観を構築しておきながら、そこにパワハラや共依存の親子といった、極めて現代的なギミックを混ぜこんでいる。ともすると、中途半端な出来になりかねないものが、この作品においては全てに意味がある。雰囲気の演出まで含めて、レッドへリングとして機能し、ラストの驚きを高めてくれる。読了後に、前半だけパラパラっと読み直してみた。たしかに色々な工夫やヒントが散りばめられており、二度読みが楽しめそう。
2019/04/17
starbro
澤村 伊智は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。著者版『獄門島』のオマージュ+『ラプラスの魔女』、それなりに楽しめますが、そう簡単に大横溝 正史の名作『獄門島』を超えられません。
2019/07/10
ごみごみ
いまなお語り継がれる亡き霊能者の謎めいた予言。閉ざされた島で次々と起こる予言の記述と符合する出来事。現代の倫理観では受け入れられない因習に縛られた島民たち。「怨霊」の謎が解き明かされたところまではミステリーだった。でも「呪縛」はそれだけではなかった。えぇーーっ!読み返すと確かにゾクッと。初読みの作家さんだから読みづらいのか?くらいに思ってたけど…「二度目はホラー」なるほど~そういうことか!
2019/04/14
しんたろー
新作は現代版『獄門島』とでも言うべき、禍々しい雰囲気のミステリ…霊能者の詩になぞらえ「6人死ぬ」という予言通りに閉じ込められた島で連続殺人が…丁寧に張られた伏線がフェアで好感が持てるし、澤村さんのホラー作でもテーマになっている「人が一番怖い」というのも効いている。ただ『ぼぎわん』『ずうのめ』のような優れたホラーを期待する読者としては、物足りなさも感じてしまう。霊能者や作家の実名が会話に飛び交うのは懐かしいし、小説ならではのドンデン返しも良かったので、ホラーを主体にしつつ、ミステリへの挑戦も頑張って欲しい。
2019/05/20
nobby
うむむ、所々に抱いていた違和感の正体を理解すると、確かにゾワッと身震い止まらず…正直、どういうこと!?と頭の整理するまで時間かかったけど(笑)かつて一斉を風靡した霊能者が遺した最期の予言の内容は「彼の島で一日に6人死ぬ」。閉鎖的な島民達からの視線、語り継がれる怨霊や風習にワクワクしている所へ、大雨降って見事にクローズドサークル成立!それほど複雑でなく真相追いながらも、見立てや伏線いっぱいなミステリを思わず一気読み♪読み終わってみれば、序盤から語られていた様々な背景が“呪い”という要素に集約するのはお見事!
2019/04/29
感想・レビューをもっと見る