蟹工船・党生活者 (角川文庫 こ 32-1)
蟹工船・党生活者 (角川文庫 こ 32-1) / 感想・レビュー
佐島楓
表題作は岩波文庫版で既読、「党生活者」のみ課題で読む。まさに多喜二の晩年の活動そのものと思われる描写。いつ拘束されるかわからない中、危険を冒してまで一念を貫こうとした様子が克明に書かれている。労働者の本質は、今も昔も変わっていない。暗澹たる気持ちになった。
2017/02/22
らむり
読んだことなくても多くの人がなんとなく内容を知っている作品ですね。劣悪な労働環境と反帝国主義。この本は、数ある「蟹工船」の中でもかなり読みやすいと聞いています。
2013/07/22
カブトムシ
この「蟹工船」は、極めて男性的な小説です。北洋の蟹工船で過酷な労働にたずさわる人々を、リアルに描いています。小林多喜二は、元銀行員でしたが、他に書いた小説が元で、銀行を解雇され、東京に出ます。そして、共産党に入党して、「蟹工船」を書きました。この作品により、プロレタリア文学の作家として旗手となります。しかし、当局ににらまれることにもなり、虐殺されます。映画は、昭和中期のモノクロと平成中期のカラーがあります。10数年程前に、小林多喜二はブームになり、マンガにもなりました。若山弦蔵さんの朗読のCDもあります。
東京湾
「俺達には、俺達しか、仲間がいねえんだな」 言わずと知れたプロレタリア文学の名作「蟹工船」。上に立つ資本家が裕福に暮らすその下に、劣悪酸鼻極まりない環境で過酷な労働を強いられる漁夫たち。やがて漁夫たちは「殺されない」ため、ストライキを決行するに至る。とにかく船内、特に読んでいて臭いが漂ってくるような「糞壺」の描写が凄まじかった。文全体が迫真に満ちている。しかし特に興味を惹かれたのは雨宮処凛の解説。派遣雇用の増加や職にあぶれ路上で暮らす若者たちの存在など、この小説と現代社会との類似に、空恐ろしさを感じた。
2017/02/05
かいゆう
オホーツクで、蟹を捕り缶詰にする『蟹工船』。凍えるような寒さと劣悪な環境、過酷な労働、監督からの暴行。船に乗ってしまったら逃げ場はない。主人公を作らず、感情の流れが書かれていないことで、より悲惨な状況が伝わってきました。『党生活者』は、満州事変直後、軍需工場内で枝を広げていこうとする共産党細胞の活動を取り上げた話。よく知らない出来事で分かりづらかったので、「共産主義」や「赤」という言葉など調べながら読みました。自分の生活を捨て、例え捕まったとしても“変えたい”と活動を続ける意志の強さはすごいですね。
2015/05/21
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