星空の16進数
星空の16進数 / 感想・レビュー
パトラッシュ
極端に感情的なキャラたちが、暴走と衝突を繰り返す。謎の相手から大金が送られた藍葉は好きなことしか目に入らず、没頭すると周囲を忘れてしまう。金の送り主を調べる女探偵みどりは、危険な調査にのめり込むのに快感を覚える。彼女らを軸に育児放棄したシングルマザー、異常な過去を持つ画家の女と暴力性の男などが絡み、やがて藍葉が幼少時に誘拐された事件の真相が浮かび上がる。そこで数少ないまともな人間と思われていた男が、最も狂気に囚われていた事実が明らかになるのだ。極彩色の乱反射する光を見続けた気分で、読後に重い疲労感を残す。
2023/09/28
koma-inu
探偵みどりの長編第1作。誘拐された時に見た部屋の色を忘れられない藍葉が、犯人探しをみどりに依頼。本書のポイントは、16進数の色コード。登場人物の個性を色コードで表す作者の理系センスは見事です。特にラスト1行の色コードを調べると・・なるほどー!救いのある結末で、胸いっぱいになりました。一方、みどりが終盤に犯人を追い詰める理由が狂気であり、次作「五つの季節に探偵は」の地の性格とリンクするのが面白いところです。やっぱりみどりは怖い・・
2022/07/02
itica
色は16進数の組み合わせで表現できる。そう言われても何のことか理解できない自分が悲しいけれど、藍葉の色に対するこだわりと言うか、識別能力の高さに先ず驚く。人とのコミュニケーションが苦手な17歳のウェブデザイナーの藍葉に、11年前に自分を誘拐した朱里を探してほしいと依頼された探偵のみどり。みどりの過剰な仕事ぶりに、何故そこまでのめり込むのか疑問に思わないでもないが、細かいことを気にしなければ「色」を主役にした小説は新鮮で不思議な世界観を醸し出している。藍葉の成長する姿がいい。
2018/08/03
はつばあば
表紙の絵とレビューに誘われて久々の紙本を購入。ミステリーが苦手な人にもお勧めできるかな?。絵を描きたいけれど上手く描けない色音痴な私には難しい感覚ですが・・目の前の文章がパ~と華やぐような。6歳の頃誘拐された人との距離感のわからない女の子。その子に百万というお金を届けた口が達者で怖い事にマヒした感覚を持つ探偵。人生と同じように人はいろいろ。それを個性で片付けるなら私はここに登場する浅川さんに票を入れたい。17歳と40代の女性だけでは心許ない登場に、彼の言葉と助力に重みがあるからこの本が生きているのだと
2020/10/03
ami*15
逸木さんの作品はシリアスな流れから一気に明るくなってくる感じがするところが好きです。今作も誘拐事件や複雑な事情を抱える少女が登場するというシリアスな要素がありながらも、最後は読んでいる側も嬉しい気持ちになる場面が見られたところがこの作者らしかったかなと思いました。でも事件の真相に関してはまだ若干もやもやが残る印象です。ひとつの色でも呼び方や見え方が沢山ある、色に詳しい藍葉や朱里さんが見ている世界はちょっと違うものに見えていそう。話が進むにつれてだんだん藍葉の世界が綺麗に色づいているように見える物語でした。
2018/10/05
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