悪玉伝
悪玉伝 / 感想・レビュー
starbro
朝井まかては、新作中心に読んでいる作家です。大岡越前VS大阪の豪商×贈収賄、珍しいテーマ、一気読みでした。美しい幼妻お瑠璃が、大変魅力的です。著者版、紫の上でしょうか?
2018/08/11
いつでも母さん
所は大阪。兄が急逝した実家の辰巳屋を守る為、弟の炭問屋・木津屋吉兵衛が乗り出した。ところが相続争いに発展し、どうしたことか大坂だけで治まらず、お江戸にまでしょっ引かれる羽目に・・実際の事件だったのね。流石はまかてさんの手にかかると、人物が活き活きと躍動してる。吉兵衛は悪玉だったのか?小悪党はごろごろいたけれど、牢獄内では良く生き残ったし身代を潰す事になったのだからやっぱり吉兵衛は悪玉だよね。それと取引きした唐金屋はもっと悪玉だろう。愛すべき悪玉・吉兵衛よ、妻・瑠璃と二人どこまでも生きて行け!
2018/09/03
ナイスネイチャ
図書館本。辰巳屋騒動という実際起こった事件の話。大岡忠相や吉宗など出てきて主人公の吉兵衛が悪玉。ただその吉兵衛目線で描いており、著者の味が出て面白く読まさしていただきました。
2018/12/27
nico🐬波待ち中
時は徳川吉宗の時代。大坂で実際に起こった江戸時代最大の贈収賄事件「辰巳屋騒動事件」を描いたもの。上方の町人の間では普通に行われる「ご挨拶」として贈り物や饗応をする風習が、幕府を敵に回す大疑獄事件に発展するとは驚いた。元々は商家の相続争いなのに、放蕩息子へのお仕置きにしては随分と手厳しい。質素倹約の時代でなければここまでの騒ぎにはならなかったろうに。大坂の常識は江戸の非常識…大坂と江戸の感覚の対比が面白かった。そして現代にも通じる「忖度」。いつの世も金や権力が絡むと「よしなに図る」人は何処にでもいるものだ。
2018/08/26
とん大西
痛快爽快なピカレスクと思いきや、なかなかのシビアな展開。ちょいとばかしモヤッと感が残る読了になったと思ったら史実がベースになってたんやね。知らんかったです。8代吉宗の治世に官民を巻き込んだ大疑獄事件。その元凶とされる辰巳屋吉兵衛。人身掌握に長けた大坂の富商は粋で風流で洒脱な悪玉。巻き起こしたのか巻き込まれたのか、視点が変われば善も悪になり、悪も善となる。さて、本当の悪玉は誰なんでしょうか。そんなダンディな余韻を残してくあたりが心ニクいです。
2019/06/05
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