小説 熱海殺人事件 (角川文庫)
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小説 熱海殺人事件 (角川文庫) / 感想・レビュー
神太郎
評価に悩む。いまいち入り込めなかった自分も悪いのだが、コメディといえばコメディなのかな?どこにでもありそうな事件。事実など度外視していかに虚飾をし大掛かりな事件にするかというのに終始している。所々舞台めいたことをやったり、罵詈雑言をあびせたりしつつ、物語はストンとはまり込む。共同体幻想みたいなものへの風刺とか、戦後の日本社会への批判とか色々と込められてそうなのだが多分いまいち判然としないのは僕の感覚がまだハマってない(それなりの年代になるとこの風刺の本当の意味とかわかると思うのだが…)。いつか再読かな。
2023/01/13
Y.Terminator
中島梓さんが評論していたので読んでみました。結果、読んでも読まなくてもよかった、と言う事は限りなく読まなくてもよかった笑。ナンセンスギャグが光りつつ滑る、異色コメディですね。すごいインパクトではあります。 中島梓さんはよくぞドラマトゥルギーだの蟹工船だの引用してこの本を評論したなぁと。さすがにプロレタリア文学とは言ってません。この本を文学評論の範囲に入れてしまうなんてぶっとびすぎです笑。 とは言え、つかこうへいさんは文章のプロですね。最後の長ゼリフに芯の強さを感じました。
2022/09/04
ダージリン
先日TVでつかこうへいを取り上げていて、10年ぶりぐらいで読み返してみた。面白さだけでなく、時代への諷刺や、過去への郷愁といったものも感じられる。犯罪の原因が、恰好良く言えば不条理というか、犯罪者の気分に依存し、重犯罪が簡単に起こりうることへの皮肉が少しあるのかも知れない。登場人物4人が喋りまくる作品だが、一級のエンターテインメントでユーモア満載。時に鋭い刃を投げかけ、異常な世界が現れてくる。特に最後の畳みかけは圧巻。ただ基本的に取り調べ室だけで展開する設定はあまりに演劇的。やはり舞台で見たい作品。
2020/07/10
モジーさん
奇怪な喜劇であった。虚々である演劇的物語のなかに瞬間はたと冷嘲な社会風刺が現出する。一九七三年、雑誌「新劇」へ戯曲として発表されている。本書は同戯曲を小説へと書き下ろした作品である。つかこうへい氏の本作が今なお色褪せず上演されるのは、この喜劇が狂気または狂気(喜)劇として潜在的に痛烈な皮肉を投射しているからであろう。
2021/08/07
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