おバカさん (角川文庫 え 2-16)
おバカさん (角川文庫 え 2-16) / 感想・レビュー
piro
『深い河』、『悲しみの歌』に登場したガストンの話という事で興味を持った作品。刊行は『海と毒薬』の翌年、1959年なので比較的初期の作品。軽めのタッチで描かれていますが、遠藤先生にとっての一貫したキリスト観が色濃く表現されている作品だと感じました。ガストンこそイエスの象徴に思え、『深い河』の大津の姿にも重なります。遠藤先生がフランス留学で受けた心の傷とも言える思いが強く現れているのではないかとも思います。上記に挙げた作品と共に読んでいただきたい作品です。
2023/12/03
さっちも
終末医療期の父親の爪を切ってあげてる時に、愛おしさが込み上げてきた。何十年と憎しみしかなかったから不思議だった。ずっと彼自身の借金漬けで家計と埒外にあった父。最近になって分かったのだけれど、家を売った金、退職金の1000万以上の金が何に消えたのか分からない。母と分割すべき国民年金と厚生年金を1人で使い続けた父。家賃は母方の祖父の家を1人で住んでいて家賃はいらなかった。消費者金融に借りた金は国の法律改正でチャラになっているはずだが、入院する際になってやっぱり借金があってという父。ただ表面は完璧で人に愛され
2024/09/12
hart
'60年代と思われる昭和の日本。銀行員 隆盛君 兄妹の前に ナポレオンの末裔と称するフランス人が姿を現わす。名前はガストン・ボナパルト。見事に馬面の青年は、臆病で無類のお人好し。最初は兄妹を困らせるが、次第にこの青年が素敵な心を持っていることがわかり、一見ただの'おバカさん'だが、はかりしれない能力も垣間見えてくる。そして行く先々で珍事を巻き起こしていく一方で、彼は出会った人々の心を不思議な温かさで満たしていく。『遠藤周作、得意の明朗軽快なタッチながら、内に「キリスト受難」の現代的再現を⇒
2023/06/04
あ。
堅苦しくないキリスト教文学として面白く読んだ。遠藤と小林に対するガストンの行動に胸が熱くなった。
2024/11/12
ひろし
面白くてすぐに読めた。「無数の人間が生きるために生きているのだった。」
2023/12/04
感想・レビューをもっと見る