月の王
月の王 / 感想・レビュー
パトラッシュ
大戦前夜の上海を舞台にした謀略小説とは『不夜城』の新バージョンかと思って読み始めたら、やがて平井和正『アダルト・ウルフガイ』のオマージュと見えてくる。古き盟約により天皇の護衛を務める人狼一族の男と、蒋介石の戦闘部隊を率いるドラゴンの末裔が魔都の暗闇で激闘を繰り返す伝奇小説へと変貌する。そこに超人戦士を作り出すナチス製薬物という『ビッグⅩ』のアイデアを組み合わせ、勝つためなら手段を選ばぬ近代戦争の狂気との戦いに発展していく。これほどSFファンタジー性の強い作品を書くのは、還暦間近で新分野に挑戦するつもりか。
2022/05/27
のぶ
馳さんのノワール小説を読むのは初めてだったが、これはノワールというより、何だかSF色の強いファンタジー作品であるように感じた。舞台は戦争を間近に控えた上海。帝国陸軍特務機関所属の伊那雄一郎は緊急招集を受け、駆け落ちした華族令嬢、一条綾子の身柄を、各国の特務機関や蒋介石隷下の藍衣社に先んじて確保せよという密命だった。本国からは天皇陛下を護衛する役割を担うという大神明が送り込まれる。激しいアクションとバイオレンスが、迫力を際立たせるが、終盤のアニメチックな展開はあまりの荒唐無稽さに付いていけなかった。
2022/04/19
初美マリン
壮大なロマンです!月を守護神として生きる狼人間、何でもありの感はしますが一気に読めます。余談ですが逆鱗と言う言葉の由来を初めて知りました。
2024/02/04
雅
かなりファンタジー要素が入った作品。この作者としては珍しいというか、初めてになるのかな⁉サクサク読めたけど意外感のほうが強い
2022/07/20
榊原 香織
あー、面白かった! 平井和正へのオマージュ、ていうか、そのままじゃないですか。 第2次大戦直前の上海、各国の特務機関、中国拳法の達人、狼男が死闘を繰り広げる。
2022/06/20
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