壊れやすいもの (角川文庫)
壊れやすいもの (角川文庫) / 感想・レビュー
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
私のために生け捕りになった金魚闇にぼうやりと浮かぶ姿がとてもきれい。虹に輝く暗い魚をみつめながら彼女は祈った。(死ぬなら眠るように死にたいですできれば気づかないうちに殺してほしいですやさしい夢をみているうちにそれを永遠にしてください。死んだらダイヤモンドにしてください。輝いていたいの)彼女はいつも死のことを考えていた。私たちはもはや善悪の区別がつかないが満ち足りている。それはよいことだと、きっと神も考えるだろう。「生者と死者のあいだには扉があって、それはどちらの側にも開くのだ」
2020/12/20
かわうそ
著者の本は初読み。知的で詩的でアイデアも多彩、ジャンルが多岐にわたりテイストもさまざまなので、次に来るのがどんなタイプの作品なのかわからない闇鍋的な面白さがあった。一度長編も読んでみたい。お気に入りはホームズ×ラヴクラフトの「翠色の習作」、「顔なき奴隷の禁断の花嫁が、恐ろしい欲望の夜の秘密の館で」、「他人」、「食う者、食わせる者」あたり。
2019/07/22
小夜風
【所蔵】「墓場の少年」の単行本を読んだ後すぐ「読みたい本」に登録したものの絶版で、そのうちニール・ゲイマンの日本語訳のものは全部絶版になってしまいそのまま何年も経ちましたが、ここへ来て次々と文庫化、とっても嬉しいです。この本は31編の詩と短編を集めたものですが、冒頭の「翠色の習作」が面白過ぎてずっとこの話を読んでいたいなぁと思ったくらい。でもその後も濃厚で摩訶不思議な話がギッシリ詰まっていて、どれも短編とは思えないくらいの読み応えでした。よく判らなかった話も巻末の作者の解説を読んで納得しながら読みました。
2019/07/07
練りようかん
ヒューゴー賞やローカス賞の短編小説部門を受賞した作品を含む31編。ホームズ譚、ゴシック、詩的、奇妙な出来事にSFのパウダーをまぶした印象で、文体も違うのだけどやはり1人の書き手が生み出したと感じられる味わいが不思議だ。特に面白かったのは2編。家出少年が出会ったのは何者か。「10月の集まり」は擬人化された9月や8月のやりとりに引き込まれ、落ち込む理由を語りが終わった後も考えてしまった。また創世記を想像した「最後の」の韻が素晴らしい地球と呼吸は原文が気になり、動物があぁ。ワンダーのインパクトが凄かった。
2024/10/12
kozu
ゲイマンの短編集。ダークでミステリアスで幻想的な世界に迷い混んでしまった感覚。同じ作家が書いたの?と驚くほどジャンルも語り口も違うけど、それでいて流れる空気感はあやしく一緒で途中で少々船酔いしそうになる。それほどに圧倒的な世界観。お気に入りはやはり冒頭の「翠色の習作」。もっと読みたい。
2020/12/08
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