チワワちゃん (あすかコミックスDX)
チワワちゃん (あすかコミックスDX) / 感想・レビュー
RYOyan
「だいたい、あたしはチワワちゃんの本名すら知らなかった」ネットもSNSもなかった時代の作品だけど、すごくシンクロする感覚。 繋がっているようで繋がっていない、孤独を抱えながら突き進む疾走感は今に通じるものがある。誰かの共感をいくら受け取っても、すぐ側の友達はすごく遠いところに居るんだ。映画も見てみたいな。主題歌のハバナイ、ヤバいくらいエモっててカッコいいっ!
2019/01/18
空の落下地点。
もしも寄り集っていられたなら、折れてしまうこともなかったの。お互いの身体を寄りかかれる柱にし、少しでも長く毅然と、上を向いていられたのに。花畑が開発されてしまったように、彼女たちもまた取り返しのつかない未来に両手首を差し出したね。ひ孫の世代から見たらば、みぃんな同じ幽霊さ。十字架のある所より出でて、ある所に、還って行きましょうね。正直に生きた人であれば、思い出のパーツを組み合わせただけでその人の模型のようになる。死んでいてもそこに居る。でも、チワワさんはそうではなかったみたい。著者の描くお婆さんを見たい。
2019/07/07
niko
◎
2020/04/22
NORA
短編集。奔放で明るい作風の短編が並ぶなかで、バラバラ死体となって発見された友人への追悼譚である表題作が鈍い光を放つ。死んだ「チワワちゃん」は必ずしも万人にとって好ましい人物とは言えないが、それでも間違いなく魅力的であり、「生きる」エネルギーに満ちた人間だった。そんな彼女の将来が突然奪われた悲痛さがひしひしと伝わる。暗く、重苦しい物語になりがちなところを、主人公をはじめとした登場人物たちの絶妙なクールさ、心地よい距離感に救われる。わざとらしく「寄り添う」ことばかりが死者への慰みではないのだ。
2019/02/25
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