偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理
偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理 / 感想・レビュー
しんたろー
降田さん3冊目。『コロンボ』や『古畑任三郎』で知られている、まず犯人側から描き、それを暴いてゆく捜査側という倒叙形式で描かれた短編が5つ…真新しい形式ではないが、今風のイヤミス感を味付けにして、著者なりのオリジナリティを出そうとしているのが伝わってくる。鋭い推理力を持つ主役・狩野が一見「変なおまわりさん」なのに辛い過去を背負わせ、後輩・月岡や上司・葉桜も巧くキャラ立ちしているので、シリーズの骨格が出来ていると思うし、ドラマの原作にピッタリ。ただ、固有名詞が多く明らかに鎌倉になのに、何故『神倉』なのだろう?
2019/08/14
メリー
初読みの作家さん、と思ったら、ユニット作家と聞いて、プロット担当、執筆担当の作家さん。それで短編ながら奥深さを感じるのかと納得。今迄読んだ事の無い面白さがあって、シリーズになれば良いな、と楽しみ。
2019/06/23
utinopoti27
本作は、『刑事コロンボ』のような、最初から犯人がわかっている倒叙ミステリ風の短編集。いずれの話も、それぞれの犯人視点で進行する一方で、神倉交番の狩野雷太という人物が、共通の謎解き役となっている。彼は一見うだつの上がらなそうな、さえないお巡りさんだが、その鋭い観察眼と洞察力で、犯人たちを追い詰めてゆくのだ。ただし、本書を単なる倒叙ミステリと思って油断していると、作者の思うツボにハマってしまうかもしれない。詐欺グループの女ボスと対峙する表題作『偽りの春』ほか、短編ならではのヒネリを利かせた作品群を堪能できる。
2021/04/09
machi☺︎︎゛
訳あって交番勤務をしている狩野。神倉町で起こる不可解な事件をアッと驚く推理で解決していく。短編集だけど狩野の過去が織り交ぜられていたり連作短編になっていたりで一つの話としても楽しめた。だけど装丁の不穏な感じと狩野のフワフワしたキャラが全然合わなくてそらがまた不穏さを煽りゾワゾワさせられた。結果、面白かった。
2021/01/19
モルク
「落としの狩野」と呼ばれた元刑事狩野は今は神倉駅前交番のお巡りさん。のらりくらりした会話から、犯人の虚をつき、そのほころびから真実を暴く5話。どの話も犯人の視点から語られ、狩野の出番はさほど多くはないが、インパクトはある。なぜに刑事を辞めたかは最終話で明らかとなるが、読んでいてなぜか犯人側に思い入れを持ってしまう。なんとか騙しきってもらいたいという願いもむなしく…。表題作「偽りの春」と「見知らぬ親友」が好き。
2020/05/18
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