望み (角川文庫)
望み (角川文庫) / 感想・レビュー
三代目 びあだいまおう
選択できる望みは【絶望】のみ!近所で高校生の惨殺死体が見つかった!息子の同級生!他に1人被害者がいるらしい。時を同じくして行方不明の息子。状況証拠の全ては息子の事件への関わりを示す。殺人犯なのか被害者なのか!どこにでもある平穏な家族に突如訪れた厄災、築いてきた全てが脆くも崩れ落ちる。犯人の筈がないと既に息子の死を覚悟する【父の望み】たとえ犯人だとしても生きていてほしいと願う【母の望み】互いの視点で紡がれ交錯していく【望み】の行方は?家庭を持つ人必読の結末!私は家族を信じる!絶望でも家族と共に生きる‼️🙇
2020/09/18
zero1
息子の死を願う親がいる?殺人事件が起きた。行方不明の息子が関係しているらしいが加害者として生きているか?それとも被害者として死んでいるか。真相が明らかになる前に取材陣が来て生活に大きな影響が。近所の住民も白い目で見る。悩み疲弊する家族。そして結論は...雫井はいろんな犯罪を描いてきたが、悩ましい問題を読者に投げかけた。事件が起きると家族の悩み、苦しみは裁判後も世間が忘れても続く。自分が父親ならどうするか?題名の【望み】は重い現実を突きつける。レビュー256件とは少なさが意外な力作。重苦しいが読んで損なし。
2020/05/21
ごみごみ
残忍で異常な少年犯罪。行方不明の息子は加害者なのか、それとも被害者なのか?殺人を犯していたとしても生きていて欲しいと願うか、例え殺されていたとしても犯人ではないと信じるか。どちらの「望み」も辛く苦しい。家族の揺れ動く心情が丁寧に描かれている。被害者家族も加害者家族も生きていかなくてはならない。どちらになっても不幸。むなしさが残るラストだった。
2019/05/11
イアン
★★★★★★★☆☆☆ 人間の心理と葛藤を丁寧に描いた雫井脩介の長編ミステリ。息子・規士が行方不明となり、その友人が遺体となって発見される。生きていないとしても息子の無実を信じるか、加害者であったとしても生存を願うか。全編を通じてミステリらしい要素はこれだけであり、後読感やエンタメ性を重視するならそのどちらでもない結末を用意するんだろうけど、そうしなかったことに著者の強い信念とリアリティを感じた。自分は父親目線で読んだけど年頃の子供がいたら違うのかな。最後に規士の生きたかった未来を垣間見て、胸が熱くなった。
2020/06/01
ナルピーチ
ある事件に関与した疑いがあるまま行方不明となった息子を思う両親の心情を極限までに描いた物語。息子は加害者なのか…それとも被害者なのか…。どんどん猜疑心が膨らんでいく。久々にとても息苦しくなる読書。でも先が気になり夢中に読んだ。描かれる結末は二択…。どちらに転んでもハッピーエンドとはならない。希望を持って何が悪い。絶望を感じる事のどこがいけない。結果がどうであれ、人が“望み”を抱いて思いの丈に縋るのは当たり前の感情だ。その表題の真意に触れて激しく胸が熱くなった。物語の序盤から終盤までずっと目が離せなかった。
2023/01/28
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