そして誰も死ななかった
そして誰も死ななかった / 感想・レビュー
W-G
今まで読んだ著者の作品の中では最も本格している。エログロ風味の特殊設定に孤島で『そして誰もいなくなった』してからの多重解決と、あらゆる角度からのギミック満載。多重あるあるとして、中途の推理はツッコミどころだらけなものの、割と読める仕上がり。しかし、島の持ち主さえ発覚してしまえば、来島の経緯からだけで犯人の目星がつきそうなもので、そこに気づくと多重の意義がなくなってしまうという片手落ちな一面もある。しかしまぁ、毎度毎度良く思いつくなーと、発想力には脱帽。世界観やネーミングセンスに平山夢明臭が強すぎるのが難。
2019/10/30
starbro
白井 智之は、新作中心に読んでいる作家です。本書は「そして誰もいなくなった」+「屍人荘の殺人」÷2といった感じでした。この設定なら、もっとはっちゃけて、ぐちゃぐちゃにしても、良かったのではないでしょうか?「昆虫人間の顔面串刺しショー!」を観てみたい!【読メエロ部】
2019/10/28
hit4papa
クローズドサークルもの…ですが、一筋縄ではいかない謎解きが展開されます。何せ、登場人物五人が全て惨殺され、生き返って殺された姿そのままに推理合戦を繰り広げるのです。グロテスクな描写が続くので注意されたし。単なるゾンビ話しではないのが良いですね。登場人物たちは、過去、一人の女性と関係を持ったことに思い至ります。彼女は何者なのか、誰が皆を殺害したのか、そしてその動機は…。リビングデッドのカラクリは、荒唐無稽ではあるものの伏線として用意されています。ゆる〜い雰囲気を醸しつつ、しっかりと考えぬかれた本格作品です。
2023/07/13
とろとろ
初読みの作家さん。読後、改めて著者の経歴と作品を調べる。で、すごいタイトルの作品ばかりだということを知る。ミステリー小説の作家らしいが、そのミステリーの母体となる事件や社会性に独特のものがあるということか。この作品、タイトルは例の有名な外国推理小説のオマージュのようであるけれど、以前に読んだ「さよならの儀式」の中にある「海神の裔」とか「屍者の帝国」の影響があるのかなと思ったりした。いずれにしてもこれは「楽園の真下」をもっと強烈にした寄生虫が元凶、絶対夢に出てきそう。作品の傾向は判った。次は無理みたい。
2019/12/06
モルク
孤島にある館に招待された5人。彼らの共通点は推理作家であることと、今は亡きある女性と関係を持ったことがあるということだった。そしてその館で一晩のうちに次々と殺されていく…が、死んではいない。クローズドサークルと多重推理ではあるが、白井ワールドらしく一筋縄ではない。いつもよりグロさは少なめだが十分グロい。身体はボロボロ、赤い血ではなく黄色い膿のような体液をほとばしらせ、ついには寄生虫まで…。こういう作品とはわかってはいるが、やはり白井作品を手にとらずにはいられない。
2019/12/11
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