Dの殺人事件、まことに恐ろしきは (角川文庫)
Dの殺人事件、まことに恐ろしきは (角川文庫) / 感想・レビュー
ナルピーチ
江戸川乱歩の作品をベースに、現代風にアレンジした短編7作。原作は残念ながらまだ読めてはいないものの、作家・歌野昌午の乱歩愛がひしひしと伝わってくる内容。マイベストは…決められないなぁ。7作全てにそれぞれの面白さがあった!巻末の解説からの一節、「本書は乱歩の世界と歌野昌午の個性が見事に融合した一冊」まさにその通りだと思う。いずれは原作を拝読の上、本書との読み比べをしたいものだ。
2021/09/30
buchipanda3
乱歩のオマージュ短編集。どれも現代を舞台にしたミステリだけれど、かの粘りつくような嫌悪を感じさせる倒錯的な世界観が盛り込まれ、普通じゃない味わいぶりを堪能した。今どきのガジェットや技術をふんだんに用いているのは新旧のミスマッチという著者の遊び心のように思える。スマホやAIを使うにしろ、やはり一番強烈なのは人の下卑た欲望を満たすための執念なのか。欲望の果てのオチがもたらす何とも言えない余韻に浸れた「陰獣幻戯」、ぶっ飛んだ推理合戦の果ての後味の悪さの「Dの殺人~」、「人でなしの恋~」の暗号のじいさんが印象的。
2019/11/19
nobby
乱歩短編集3作読了しての変態的思考のまま(笑)そう言えば手元にあった歌野さんによるオマージュ作品を悪ノリして再読♬いや、生々しくて面白かった!6年前に楽しんだ時にも原作はきちんとチェックしていたが、ほぼ詳細覚えて味わえるニヤリや興奮は段違い!最先端テクノロジーへの味付けの上手さに加えて幻想やエロへのアプローチ堪能出来るのも絶品!最後には本家にも勝るとも劣らぬオチがあるのもたまらない!やっぱりもうタイトルからゾクゾクしっ放しは「椅子?人間!」本題ならずも「屋根裏ー」「二銭銅貨」もちゃんと扱われるのも嬉しい!
2023/07/09
ちーたん
★★★★★江戸川乱歩の有名な作品を現代風にアレンジした7つの短編集。恥ずかしながら乱歩作品未読でして…でも知らなくてもめっちゃ面白かった!!どの話もわかりそうで完全には解き明かせないオチまでの構成がなんとも歌野さんらしくてニヤリ&満足😁オリジナルをご存知の方はさらに楽しめるんだろうな✨ネタバレしないよう元祖の作品名を列挙。『人間椅子』『押絵と旅する男』『D坂の殺人事件』『お勢登場』『赤い部屋』『陰獣』『人でなしの恋』※オリジナル既読の方も新たなミステリに出会えるはず🎵私は原作も読んでみたくなりました!
2019/11/08
たか
江戸川乱歩の作品を現代に置き換え、凝った作りに仕上げた本格ミステリ集。 乱歩の原作を読んでいないものもあったが、それでも十分楽める。 しかしながら、本書の最大の楽しみは、やはり元ネタとの差異にニヤリとするところなんだろう。 いずれの作品も、結末に捻りがあり、ダークで、背筋がゾッとして、後味が悪い。 個人的には『陰獣幻戯』『Dの殺人事件、まことに恐ろしきは』が好みであるが、最終作の『人でなしの恋から始まる物語』の心温まるラストもいい。B評価
2020/03/04
感想・レビューをもっと見る