さよなら僕らのスツールハウス (角川文庫)
さよなら僕らのスツールハウス (角川文庫) / 感想・レビュー
いたろう
シェアハウス「スツールハウス」に、歴代住んでいた住人たちを主人公にした全5話の群像劇。スツール=椅子という名前の通り、まさに腰掛けのように、それぞれ若い頃の一時期だけを過ごした場所だが、そこには、シェアハウスならではの人間模様があり、そこに住んだ、性格も様々な住人たちの人生と、語るべきストーリーがあった。物語は、本格的な謎解きミステリもあり、最後には、ある大きな秘密が判明するなど、なかなか手が込んでいる。著者の作品は、「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズ以外はあまり読んでいないが、他の作品も読んでみたい。
2024/10/03
ぶんこ
川沿いに建つシェアハウスに暮らす男女のお話。敷金礼金が要らないというのは若者には嬉しい。15年にわたり暮らし続けた存在感の薄い鶴屋素子。卒業、就職、転勤などで住人が変わるなか、皆仲は良い。同棲の隠れ蓑に部屋を確保していた半井さんは、同棲を解消して本当の住人となる。亡霊騒ぎを起こした住人。夫に浮気された人。鶴屋さんは遅咲きの作家となる。トイレとシャワーとリビングが共有ですが、キッチンはどうなっているのか?お掃除は?綺麗好きな人にとってはシェアハウスは難しいと思うのだけれど、その点はスルーされていたのが残念。
2020/07/12
ツバサ
男女が人生の一部を共有するシェアハウス。そこでの生活はみんなそれぞれが違う想いで受け止めていて、その違いを各人物ごとに見せていくのは儚くて暖かいものでした。各話読み進めていくうちに繋がっていく縁には胸に来るものがありました。
2020/09/05
のんちゃん
舞台は関東のとある地の崖の上に立つ「スツールハウス」という名のシェアハウス。この建物に住う入居者の約30年に渡る物語。もちろん入居者は年々替わり、物語はある時期の入居者の日常の謎を扱う短編集となっている。そして最後に長らく住み続けたいた、謎めいた一人の女性の章になり、帯にあるように世界が変わる。青春ミステリとあるが、過ぎ去った日々を懐かしむ年齢の読者の方が、この物語をより一層、味わえるかもしれない。作者は別のミステリシリーズで人気だが、私はこちらの話の方が好きだ。
2020/02/13
ベイマックス
連作短編集。『陰の花』の余韻がいい。短編は、登場人物のその後の空想も楽しい。白石くんが、ラストの『さよなら私のスツールハウス』に再登場。(再登場は白石くんだけじゃないけどね)あかされないお相手は、サンフラワーではなくて、赤川店長だったりして(笑)。指輪だったり、抱きつかれたり、管理人だったり、終わり方がとってもよかった。
2020/01/02
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