祭火小夜の再会 (角川ホラー文庫)
祭火小夜の再会 (角川ホラー文庫) / 感想・レビュー
みっちゃん
最終章「レプリカ」の驚き。そして全てが腑に落ちる。今まで感じていた、何となく曖昧だった違和感の正体はこれだったのかと。全て読み終えて、時系列では最後になる第1章に戻ってみる。ああ、寂しいな。切ないな。祭火小夜の第2弾、全く恐ろしさは感じないけれど、この郷愁溢れる抒情感。作者の持ち味だね。私は好き。
2020/10/17
眠る山猫屋
祭火小夜の物語は続く。今回は小夜の友人(であろうとする)浦沢圭香の目線で進む。清廉な怪異に憑かれ、人を操る植物に巻き込まれ、死神のような妖魔に追いかけられる。その度に小夜に救われ絆を深めていく小夜と圭香。けれど、結末は悲しく・・・。小夜は何が出来るというわけではないし、圭香もただ小夜の友人であろうとしただけなのに。なかなか上手な作家さんなのに、他作品がないのは残念至極。もっと読んでみたい。
2023/07/20
sin
第1話の後、第2話との隙間にこの物語のすべての証となる独白がある。小夜にとっては再会であり、彼女にして単に中学の同級生でしかなかった思い出の、真実にいたる扉が開かれる。学校で二人が会話を交わすのはいつも放課後、そして怪異との遭遇と云うきっかけではあるが、独りぼっちの小夜と少しずつ距離が近付いて…彼女はやがて彼女であることの真相に辿り着く…今朝観た仮面ライダー『激突、存在する価値』のメギドのデザストの最期に思いが至った。
2021/07/11
よっち
真面目な優等生で「正しい」生活に息が詰まってしまった中学三年の浦沢圭香。気分転換に植物園へ赴いた彼女が、怪異に詳しい無口で笑わない謎の同級生・祭火小夜とと巡り合う第二弾。シラナメに付けられた文様、植物園の新種の花に多くの人が群がる理由、謎の包帯男が持ちかける身代わりの取引、地域で発生する夢遊病のような症状、そして目の前に現れたもうひとりの自分。圭香が小夜と共に怪異に遭遇するようになって、二人は友だちになれたんだなと思いながら読んでいたらそんな結末だったとは…今回のタイトルの意味を改めて考えてしまいました。
2020/08/10
うまる
祭火小夜の続編。今回も連作が良いバランスで構成されていて面白かったです。何と言っても最初に再会の話から始まるのが素晴らしい。読み終わってから最初の話の事を思うとすごく切なく感じます。全体を通して小夜の人間味を感じられたのも良かったと思います。最終話のネタとロジックは、同じ角川ホラー文庫ですごく似た話があるので気付いてしまいましたが、こちらの方がわかりやすくまとまっていたし、思ってもいない所が伏線だったので楽しめました。さらなる続編はあるのか、別の話を書くのか、今後の動向が気になる作家さんが増えました。
2020/10/08
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