食っちゃ寝て書いて
食っちゃ寝て書いて / 感想・レビュー
kotetsupatapata
星★★★☆☆ なかなかヒット作に恵まれない作家 横尾と、仕事で芽が出ない編集者の菜種が交互に語り口を変えながら、それぞれのの崖っぷちから抜け出そうともがき続けた1年間のストーリー。 とはいえ切羽詰まった様子は無く、他の作品同様布団が雨に濡れたとか、豆腐のパックが切りにくい等、中盤までは日常を淡々と紡いていきますが、最後の50ページから一気に急展開しました。 でも最後の仕掛けは「えっ?どういう事」とちょっとついていけませんでした 結局この物語内の菜種の語りは全て架空の「降らない雨もない」の出来事なの?
2020/12/16
シナモン
小野寺史宜さん9冊目。一冊の本を産み出すってこんなにいろいろあるんだなぁ。そう思うとこの本にも一層愛着がわいてきました。今回の主人公は自分と歳も近いので親近感も。いろんなことを普通にやれてこなかったなぁという感覚にも共感です。「無駄に想像しない、無駄に休まない、無駄に求めない、無駄に守らない」私も合言葉にしたい。そして私も目がきれいなばあさんになりたいなぁ。地味だけどこんな生活が落ち着きますね。最後に「ウィンウォーン」の音も聞けて、穏やかに読了でした。
2020/09/19
mint☆
タイトルから自堕落な作家の話かなと想像ししばらく読む予定はなかったのですが小野寺さんが雑誌のインタビューで『今夜』のボクサーのその後はこの本でわかる、と答えていたので記憶が新しいうちに読んでみた。地味な作家、横尾成吾と新しく担当になった井草菜種。それぞれ一人称で交互に描かれる。自堕落などではなく淡々とルーティンをこなし質素な生活をする作家はいい意味で予想を裏切った。一冊の本を生み出すのは大変だ。大変なんだけどほわっと優しい気持ちになれる物語。最後はそうくるとは思わなかったけど面白かった。未来は明るそう。
2021/02/17
のぶ
いつもの小野寺さんの作品に比べ、軽くて自虐的な印象のする本だと思った。売れない作家、50歳の横尾成吾と、編集者歴4年になるも未だヒット作を出したことがない30歳の男性編集者、井草菜種が中心に織りなす物語。本は前任編集者から書き直していた原稿をボツにされ、横尾が気落ちした3月に始まり、新作刊行に至るまでの1年間を、月ごとに横尾の章と、井草の章が交互に構成され、お互いの苦労話が多く語られている。横尾の執筆に関するエピソードは小野寺さんの体験も入っている感じがする。専業作家を続けていくのは難しいと思った。
2020/07/26
おしゃべりメガネ
小野寺さんらしく自問自答な作風はしっかりとキープされてはいて、楽しめはできたのですが、正直作家さんと編集者さんとの悪戦苦闘物語とあって、やっぱり他の作家さんで読んだコトがあるような既視感は払拭できずに読了してしまいました。小野寺さん作品を読み始めると、特にハラハラドキドキではないのですが、そののほほんとした世界観に惹き付けられ、読むのが止まらなくなるのですが、今作はちょっとリズムが自分には合いませんでした。売れない中年作家さんと優柔不断?な若い編集者、どちらもキャラに寄り添えず、ちょっと残念でしたね。
2020/07/11
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