この本を盗む者は
この本を盗む者は / 感想・レビュー
ヴェネツィア
人物造型も語りの文体も、あたかもコミケで売られている同人誌に書かれたもののようだ。もっとも、それをプロ風にアレンジしたといったレベルではあるけれど。深緑野分を読むのは4作目だが、プロデビュー前のこの作家はもともとがこういう作風であったのか、あるいは作家としての成功を背景に、このあたりで自分のほんとうに書きたいものを書いた結果であったのか。書いている作家自身は大いに楽しんでいるだろう。そして、それに共振してワクワクしつつ歓迎する読者も一定数いるだろう。だが、その共犯関係の外にいる読者は戸惑うのである。
2022/10/20
starbro
深緑 野分、新作中心に読んでいる作家です。2021年本屋大賞ノミネート作品ということで、読みました(8/10)普通のミステリかと思いきや、ブックカース・ファンタジー・ミステリでした。著者は楽しんで書いている気がしますが、一読者としては、あまり楽しめませんでした。本屋大賞の順位は、8~10位ではないでしょうか? https://kadobun.jp/special/konohon/
2021/01/28
さてさて
曾祖父が建てた『巨大な書庫』『御倉館』を訪れた主人公の深冬。そんな深冬が『御倉館』の中で出会った一人の少女・真白から告げられた言葉の先に、盗まれた本を取り戻す姿が描かれたこの作品。そこにはファンタジー世界にどっぷり浸れる全五章の物語が描かれていました。さまざまなジャンルの”小説内小説”が登場することで、読み味の変化が楽しめるこの作品。絶対アニメ化すべし!と思えるくらいにそれぞれの場面の映像が頭の中に浮かんでは消えるこの作品。独特な構成の物語が展開していく中に、深緑野分さんの攻めの作品作りを見た作品でした。
2023/05/27
ウッディ
曽祖父が蒐集した膨大な本を集めた「御蔵館」、蔵書を盗まれることを怖れた祖母の仕掛けによって、本嫌いの女子高生・深冬が不思議な出来事に巻き込まれていくファンタジー。本屋大賞候補ということで、楽しみにしていたのに、久々に読みにくい一冊でした。奇想天外な展開は、本の中にある果てしない空想世界を表現したかったのかもしれないが、途中で何を読まされているのかわからず、読者自身が迷子になってしまうような内容でした。どうせ夢オチなんでしょうと思わせてしまったのが、この世界にのめり込めなかった原因のような気がします。
2021/03/23
けいご
気まぐれで流行りの本も読んでみようと思って手に取ってみました★2021年本屋大賞ノミネート作品って事もあって期待してしまった自分もいけなかったんだけど...ごめんなさい!自分にとっては全然面白くなかったです...。この本のを例えるなら「綺麗っぽい言葉並び立てた無茶苦茶長い詠唱魔法なのにの出てきた魔法はパルプンテだった...」的な感じ。登場人物の心情描写がチグハグで全然入り込めなかった...。久しぶりにめちゃくちゃ苦手な一冊に出くわしてしまったな〜。
2021/01/27
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