雪割草 (角川文庫)
雪割草 (角川文庫) / 感想・レビュー
KAZOO
「ビブリオ古書堂」に出ていてかなり話題になったので文庫本で出してくれたのでしょう。横溝の作品としては探偵ものではないのですが金田一の原形のような人物が出てきます。物語としては戦前の話で結婚直前であった女性の父親が不倫の相手ということで破談になってそこから本当の父親探しが始まります。新聞連載ということでこのような作品も書かれていたとは驚きでした。
2022/09/01
レモン
ビブリアで知って気になっていた本書。推理小説ではないが、先が気になって一気に読めた。序盤から婚約破棄された有為子の波瀾万丈の物語。次から次へと苦難の連続で有為子が不憫になるが、最後は気持ち良い大団円で終わってホッとする。戦時中に新聞連載されていたらしく、世相等を反映して展開を変更されているのに違和感もなく、さすがプロと唸らせられる。梨江夫人の変貌ぶりが物凄く、本当に同一人物かと疑うほど。横溝正史ストップしていたが、やはり面白いので金田一や由利麟太郎シリーズ追いかけねば。
2023/01/09
坂城 弥生
血みどろの殺人も、犯人探しもない、ただ懸命に生きている人達の姿がありました。
2021/10/01
のびすけ
戦時下の地方新聞で連載され、約80年もの間埋もれたままになっていた幻の長編作品の文庫化。「横溝正史の幻の作品」という響きに胸が踊る!物語は、本当の父親を探す有爲子が遭遇する苦難の数々と、そんな有爲子の周りの人達との人間模様が描かれる。いわゆる「通俗小説」。ミステリーではない横溝作品にやや懐疑的だったが、なかなかどうして、とても面白かった!飽きさせない展開と読みやすい文章が、本編570頁というボリュームを感じさせなかった。本作品に金田一耕助の原型となる容姿を持つ主要人物が登場していることも非常に興味深い。
2021/04/28
まるぷー
先の大戦中に書かれ新潟の新聞に掲載された以外、書籍化されずに2006年に原稿が発見された。金田一耕助以前の作品らしく、探偵も出てこない女性を主人公にした通俗小説とされる。舞台は上諏訪、主人公の緒方有爲子と後に結婚する日本画家の賀川仁吾の波乱万丈の話。芯が通っているようでか弱さが見える有爲子、ちょっと弱気で優柔不断に感じる仁吾。仁吾の師匠の五味楓香夫妻やその娘の美奈子との壊れそうになる人間関係の中、最後には大団円の結末。楓香が謝罪に来た仁吾に諭す台詞(P372)に楓香の悔しい思いに涙出そうだった。
2021/08/23
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