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テスカトリポカ

テスカトリポカ

テスカトリポカ

作家
佐藤究
出版社
KADOKAWA
発売日
2021-02-19
ISBN
9784041096987
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テスカトリポカ / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

紛れもなく第1級のエンターテイメント小説である。スケールの大きさでは、これまでにあまり類をみないノワール小説だろう。メキシコの麻薬密売組織、中国の黒社会、インドネシアを拠点とするイスラムの組織―これらの犯罪団を前にすれば、日本のヤクザ組織や警察までもが軟弱なものに見えてしまう。登場人物たちもまた破格に個性的だ。傑出した手腕を持つ心臓外科医「蜘蛛」、アステカの神々を奉じる組織者「調理師」、2mを超える体躯を持つピュアな「断頭台」コシモ。凄まじいばかりの暴力とアステカの神秘的な黒魔術、子どもの虐待と⇒

2023/08/30

starbro

佐藤 究、3作目です。本書は、圧倒的な暴力ノワールをアステカの神々が誘うクライム・ノベル、読み応えがありました。アステカの古代神が現代に蘇り、現人神コシモ降臨ということでしょうか?続編を希望します。 https://www.kadokawa.co.jp/topics/5433

2021/03/15

青乃108号

佐藤究、何て力量のある作家だろう。ようやく2日間の正月休みが取れたのでと軽い気持ちで読み始めたら最期、俺は【テスカトリポカ】に取り憑かれたように寝食忘れてぶっ通しで読み耽ってしまった。ストーリーの運びが見事である。血飛沫飛び散りまくり、骨砕けまくりの暴力描写は気が遠くなる程のリアリティーで描かれるが、ストーリーのテンポの良さでどんどん読まされてしまう。麻薬密売・臓器密売・アステカの神への生け贄など、言葉にすればとんでもなく重たい内容を、これだけ一気に読ませる佐藤究は凄すぎるだろう。

2023/01/05

パトラッシュ

メキシコでの凄惨な麻薬カルテル抗争に日本の無国籍児問題と薬物汚染。無関係の犯罪や社会問題がインドネシアで結びつき、日本を舞台とした臓器密売移植ビジネスに発展する過程は息苦しいほど読まされる。パルミロが祖母から伝えられたアステカの人身御供の神事が繰り返し語られ、相次ぐ殺人や破滅も神に捧げる生贄にしか思えなくなる。裏の世界の生態を描くノワール物の頂点といえる迫力だが、そこまで盛り上げながら僅かな裏切りで犯罪組織が瓦解してしまうラストは呆気ない。メキシコの大地を血に染める壮絶な復讐劇を期待していたのは私だけか。

2021/03/19

bunmei

これが直木賞?と思うほど、残酷で凄惨で、過激な描写を突き付けてくる。麻薬の密造、臓器の密売、マフィアの抗争等、裏社会に暗躍するマフィアの実情を、鋭いタッチで描いている。そこに、アステカ文明の神事を絡めることで、よりミステリアスな要素も深める中、世界を股にかけてのマフィアの死闘がリアルに展開されていく。これまでの直木賞とは一線を画し、超ハードボイルドな内容で、グロさも半端ない。550ページに及ぶ大作ながら、非情にテンポよく内容が展開していくため、次の展開が気になる筆致の巧みさには、直木賞の片鱗が覗える。

2021/08/26

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