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津軽 (角川文庫クラシックス た 1-8)

津軽 (角川文庫クラシックス た 1-8)

津軽 (角川文庫クラシックス た 1-8)

作家
太宰治
梅佳代
出版社
KADOKAWA
発売日
1998-06-23
ISBN
9784041099056
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津軽 (角川文庫クラシックス た 1-8) / 感想・レビュー

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まあちゃん

文学っていい。太宰が風土記執筆の為故郷を訪ね歩く。親戚友人を頼りに、めっちゃお酒飲みながら。芭蕉の旅を引き合いに出したり。兄宅の古池に蛙がぽちゃりと飛び込む小さな音を聞き、芭蕉の「古池や…」の句の価値を見出す。ぽちゃりという世の中の片隅の貧弱な音を聞き、芭蕉はきっと「わが身につまされるものがあったのだ」と。幼少期、本を読んでくれて面倒を見てくれ、母と慕った「たけ」を訪ねる。再会を喜び、かつ、自分のアイデンティティが津軽の郷土のほか、このたけの人柄にあったのだと悟る。巻末太宰の経歴、自殺未遂の多さに驚く。

2015/08/18

更夜

新潮文庫版を揃えていたのに、この『津軽』だけは角川文庫にしたのは解説が町田康さんだったからです。昭和19年、30代になった太宰治は生まれ故郷の津軽を訪ねる。冒頭にまだ子供の頃、どんな子供だったかが書かれているのですが、「おしゃれ童子」からの引用で「おしゃれな子供」だったのに、時代もあって国民服にゲートルというのが不満なのです。どこまで「おしゃれ」!なつかしいというより、津軽の人ってこうなんだよねぇ、と嘆息しながら、自虐的に描かれる津軽行き。解説にある「こだわりとこわばり」が強調されます。読んでてつらい。

2015/11/14

Jiemon

太宰にしては明るい、精神的にも安定している時期に書かれた小説で、彼の精神の基底となっている生まれ故郷を、慈しみ、愛する気持ちが素直に表れてとても良かった。特に旅の最期に一番おいしいところとしてとっておいた小泊に嫁いだ、昔の太宰の子守り"たけ"との出会いはとても感動的。太宰が3歳の時、たけが14歳から子守が始まったというから、たけは乳母替わりというより、お姉さんの年の差。お互い一番多感な年頃の6年間を過ごしたので兄弟以上の絆で結ばれていたのだろう。30年近くを経ての再開で心が高揚したまま小説が終わる。

2016/08/08

mshiromi

津軽を旅した風土記。金木、弘前、小泊、鯵ヶ沢、浅虫、青森、深浦、五所川原、黒石、鶴田、板柳、岩木山、…全てを訪れた訳ではないが、幾つもの点と点が線になり津軽平野は太く結ばれている。津軽を形容するならばこういう感じかな。津軽の人は津軽の人を大切にする。彼は津軽では生きていけなかったが、全て津軽弁で会話が書かれていないのに違和感を覚えるほど彼は津軽の人だ。作品の中には津軽の人を思い出す事も少なくない。彼が旅をするのは「苦しいから」。末尾には「…虚飾はしていない…読者も騙していない…」と書かれていました、。

2016/02/27

jackgingereric

Sさんと鯛の切り身のところが笑えた。郷土愛。郷里があることを誇りに思える。

2013/03/18

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