さくら、うるわし 左近の桜 (角川文庫)
さくら、うるわし 左近の桜 (角川文庫) / 感想・レビュー
エドワード
実は「左近の桜」の2作目を飛ばしている。前作で高校生だった桜蔵(さくら)も大学生。相変わらず突然に時の狭間に落ち、夢の世界へ浮遊し、男と女、この世とあの世を行き来する。「この川、渡るべからず」は明らかに三途の川だ。ブックカフェで入手した詩集「緑の月」にまつわる怪異譚「ありえないことについての、たとえ」―秀逸な章題と、滲み出る書籍への愛が好きだ。「その犬の飼い主に告ぐ」房総の海で上げる凧と瓶流しが懐かしい。弟の千菊、女友だちの真也等、個性豊かな脇役も活躍する。<現代屈指の幻想の紡ぎ手>の肩書に偽りなし。
2023/01/10
hrmt
大学生になっても瑞々しさはそのままに、桜蔵くんは相変わらずのあの世限定の引き寄せモテまくり体質。3作目にもなると桜蔵くんだけでなく読んでるこっちも現世から夢世界への突然のトリップに流石に慣れてきました(笑)千可琉の登場に桜蔵の出生や、柾との関係が明らかになるのかも…と思いかけたけど、どうやらお預けのようです(~_~;)
2023/04/29
さや
前2巻に比べて1つの話が少し長めになっている。長野先生作品には珍しく犬の登場率が高い。解説で女と犬の組み合わせの意味を読んで納得。桜蔵が夢と現の狭間でこの世ならざるものに抱かれ慣れてきたのか状況把握が早くなってる気がするのが少し面白い。魂の救済をすることに今までと比べたら受動的ではなくなってきているように思う。柾さんの過去のベールが少しずつ剥がされてきているので、これから桜蔵と柾さんがどんなやりとりをしていくのかが楽しみ。それにしても千菊が高校生になってることに驚き。柾さんにどんどん似ていくんだろうな…。
2021/07/25
Yuri
単行本既読なのですが、気付かずに文庫を購読。電子書籍はその点ちょっと不便な気がします(私の管理能力不足とも)。彼岸と此岸の境を行き来してしまう桜蔵。何度読んでも日本語の表現の美しさが際立ちます。
2022/01/29
冬見
左近の桜シリーズ第3段。シリーズ当初は高校一年生だった桜蔵も本作では大学生。実家を離れ、柾の元へ寄宿している。短編集ではあるが、前作までと比べ一編の長さはやや長め。個人的にはこれくらいのボリュームの方が楽しめる。相変わらず彼岸に引っ張られがちで、流され気味、よく気を失い、気づけば裸になっている。前作のラストでの柾の発言はなかなか胸をざわつかせるもので、とうとう桜蔵は囲われてしまうのかと思ったが、そういうわけでもなく。まあ「女」ではあるのだけど。本作も楽しく読み進めた。次回作も気長に待ちたい。
2021/02/21
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