決起! コロヨシ!!2
決起! コロヨシ!!2 / 感想・レビュー
utinopoti27
奇妙なパラレルワールドを舞台に、様々な作品世界を創り出す作者ですが、本作は、「掃除」がスポーツとして存在する仮想国家で活躍する高校生を描いたシリーズ2作目。主人公の成長を描く青春スポ根の色合いが強かった前作に対し、今回は、世界を巻き込む陰謀と対峙する、主人公と仲間たちの壮大な冒険譚といった感じでしょうか。細かく練り上げられた世界観には感心させられるばかりですが、話を広げすぎて、後半は収束が急ぎ足になった印象は否めません。とはいえ、作者のこだわりが詰まった物語は、アニメ化したら面白いかもね。
2018/05/25
文庫フリーク@灯れ松明の火
【決起】決意して立ち上がり行動を起こすこと【血気】物事に激しやすい意気。向こう見ずの元気←樹だ(笑)前作から間を置かず読めたのは幸い。熱血スポーツ小説のようで有り、青春成長譚でも有り、SF伝奇小説のようでも有り。現実世界から微妙に乖離した三崎ワールドに、塵芥の如く翻弄されました。舞踏ならぬ舞闘だな、とか、剣禅一如とか、これは九龍街がモデルかな?等々あれこれ浮かぶのですが、生半可な知識と想像力をくつがえされた気分です。架空の競技『掃除』三部作の予定なのですね。続編楽しみに待ちます。
2012/04/04
kishikan
そうですか三部作の予定なのですね。終わり方が未来への旅立ち、なのでどちらも有りとは思っていたのですが。前作と比較し、本作はスケールが格段に大きくなった感があります。ただ前作を前提に物語が始まり、学園生活編が一気に進みますので、初めてコロヨシを読む人には最初は辛いかもしれません。読み進めると、掃除の技とか対戦相手、隠された様々な謎、この世界観にどんどんはまります。僕としては三崎さんの「街もの」が好きなんですが、こういうのも良いですね。あと掃除の動きが実際どういうものか想像し難いので、解説があったらなぁ。
2012/04/04
ひめありす@灯れ松明の火
春には桜の花びらを、夏には水しぶきの一滴を、秋には降り敷くもみじ葉を、冬には雪の一ひらを、始末するのではなく元あったところへと、あるべき所へと御戻り願い返していく。故に片付けではなく掃除。掃いて除きたくなるものは山ほどあって、道を隠す砂埃、進むべき道に垂れこめる暗雲、手足を絡め取る人の視線、思惑の茨。血気盛んな高校三年生。決起した心、結帰させたいもの。結局のところ敵わないものもある。でも焦ることなく一つずつ、丁寧に受け止めて帰していこう。その中には結び難かった縁もあるだろう。もう一度結び帰せる日が来るよ。
2012/04/22
藤枝梅安
「コロヨシ」の続編。「掃除」はスポーツではなく、人の心を動かす神聖な儀式なのであった。日本語の文字と意味を駆使しながら、体制の中で努力する若者の姿を描く、と言ったら大げさだろうか。謎の存在であり続けた「父」や「祖父」の歴史が少しずつ見えてくる。戦後の日本がもしかしたらこの小説のようになっていたかもしれない。作者は「父」にこう語らせている。>この国のいびつな繁栄の仕方や、巧妙な情報統制のあり方を見ていると、自治権など持たずに、他国の属国であり続けたほうが『よりよい選択』だったんじゃないか・・・(p479)
2012/03/23
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