光圀伝
光圀伝 / 感想・レビュー
ArcCosine
徳川光圀の人生を一気に駆け抜ける本でした。彼が詩に、史書に、そして義に熱かったかを知ることが出来た。もちろん、事実よりも創作部分が多いとは思うがそんなことを意識しなくても良いくらい面白かった。
2014/08/15
再び読書
時代劇のロングセラー「水戸黄門」の実録。一冊にしてはかなり長かったが、それを感じさせない筆力に感心しました。義に殉じ、兄の子を跡取りに、また兄は弟の子を自分の跡取りに、兄弟が血で血を争う江戸でもまたと無い事が実現された所では心が熱くなりました。また、御三家初代の繋 がりも歴史小説では初めて読みました。特に義直の剛毅さや、優しさ等紹介されていて、今まで知らない部分が知れて、おもしろかった。保科正之や酒井忠清の大きさも知れた。人を大事にしながらも、大義と学問に情熱を燃やし続けた光圀の叙事詩。
2013/05/18
文庫フリーク@灯れ松明の火
『春宵深月清雲の上(ほとり) 梅蘂香を逞(はな)ちて玉枝に満つ 此の景誰ありてか絵(えが)き尽くすを得ん 暁風一陣鼻を撲って吹く』なんと自由な精神にあふれた詩であろう。何物にも捉われぬ心と包容力「天姿婉順」泰姫の存在有ってこそ、この物語は魅力を放つ。泰姫の志を継いだ左近もまた。戦国時代、あるいは幕末の動乱期ならば虎は千里を駆け巡ったであろう。泰平の世の羊の群れの中、鋭い牙と爪を隠した虎の、狂おしくたぎる血。その虎を恐れることなく膝枕し、心を添わせ、癒す若き妻は菩薩である。→続く
2012/10/08
修一朗
怒涛の光圀伝でした。戦国の世が終結したのち、豪傑に生まれついてしまった男は如何なる人生を生きるべきなのか? 光圀という素材を得て、難しいテーマに真っ向から挑戦です。結果は? 大義と学問を縦と横の糸にして、見事に描き切りました。 肝心のディテールは◎。德川御三家と、德川幕府を支える老中連中との葛藤をしっかり描いているし、保科正之と水戸光圀が、豪放磊落、同じような人間として描かれているのが面白かった。前作の安井算哲もそうだったけど、冲方丁さんには、これからも、歴史上の文人を書いていってほしいです。
2014/02/16
hiro
冲方作品は『天地明察』に続き2作品目。力作。まずこの751ページの本を持って重さにびっくり。最初は、今まで持っていた水戸黄門のイメージと違いすぎるためか、なかなか読み進められず、図書館返却日まで読め終えることができるのか心配になるほどだった。しかし、読み進めていくうちに、光圀の「水戸家の血筋を正しき義に戻す」という気持ちが理解できると、新たな光圀のイメージができたためか、驚くほど読むペースが上がった。実在の登場人物達も魅力的に描かれており、特に左近は魅力的な女性だった。『天地明察』とのリンクも楽しめた。
2012/12/09
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