採薬使佐平次
採薬使佐平次 / 感想・レビュー
アルピニア
採薬使とは、将軍吉宗の時代に設けられた諸国を旅して薬草などを採集、研究する役職で、同時に御庭番(間諜)の役目も果たす。事件は隠密廻り同心の死から始まる。死体はビードロの細い管を握り締めていた。それは、「昇降図」今で言う温度計だとわかったのだが、誰がなんの目的で温度計を使っていたのか。次第に非情な企みとその黒幕が明らかになっていく。採薬使が活躍する物語だけあって、植物や昆虫の知識とそれに絡む江戸中期の状況などが書かれており、興味深く読み進めた。体制側に与する立場でありながら迷いも捨てきれない佐平次が魅力的。
2021/05/04
kei302
享保の大飢饉は生物テロによる米の不作が原因だった! 事件発覚のきっかけとなった温度計は何に使われていたのか? 永井するみ著『枯れ蔵』を彷彿させる“生物テロ”。イネの害虫ウンカは春に黄砂とともに日本に運ばれ、寒さに弱いため冬が来ると死滅する。そのウンカを大量に飼育していた組織の狙いは…。飢饉の広がりと政道批判、倹約を主張する吉宗と規制を緩めることによって経済を活性化させるという尾張宗春の主張。う―mm。KindleUnlimited単行本の表紙の方がクールで好み。
2022/03/15
ねむねむあくび♪
図書館の本。さくさくと読了。登場人物が時代物にしては多めのため、魅力が分散してる点は残念。故に、主人公の魅力も薄い。しかしその分、作中の会話が個人的には好み♪主人公よりも回りの登場人物たちの細やかな会話のやり取りが生き生きとして、久しぶりにテレビ番組の時代物を観ているような気分で楽しめた。読んでみて、題名が紛らわしくて損してる作品だと思った。採薬師佐平次とあるが、お庭番たちの活劇なので、必殺仕事人的なチーム感の出るタイトルにしたら良かったのになぁ~(*´∀`)続編も読んでみよう。
2017/09/22
ベルるるる
江戸の四大飢饉のひとつの享保の大飢饉は、実は、害虫テロだった・・・という内容。興味深い設定だと思った。
2018/08/11
Norico
江戸城御掃除之者シリーズで出てきた採薬使が主役の物語もあるというので、読んでみました。蝗害の裏に見え隠れする尾張徳川家を追う佐平次さん。結構人が死ぬし、終わり方もスカッとする感じではなく、御掃除者シリーズよりだいぶシリアス。
2020/12/14
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