天佑なり 上 高橋是清・百年前の日本国債
天佑なり 上 高橋是清・百年前の日本国債 / 感想・レビュー
KAZOO
私は高橋是清の自伝を読んでいるので、幸田さんがどのように彼を料理しているのか楽しみで読んでみました。上巻は彼のうまれてからのことやいろいろ里子に出されたり、だまされてアメリカで人身売買されたり自伝でも書かれていることが読みやすく書かれています。またペルーでの事件や日銀の法王川田総裁のお気に入りとなり支店長の職を得るところで上巻は終わります。自伝だと最近の若い人にはややとっつきにくいところがあるのでしょうがこの小説は楽しく読めます。
2016/10/12
Willie the Wildcat
好奇心と行動力。時勢と出会いを活かした先見性。経験が知識であり、スジが判断基準。根底に維新魂。国家が念頭。故に、特許も不平等条約解消の交渉材料!”直球勝負”一辺倒が起因となるトラブルも、将来の糧。一方、時勢で片付けるには忍びない数々の”別れ”。特に、君との初恋が印象的。一時の身の破綻の原因でもあるが、人間性を深める経験。哀しくもあり、所謂”レモンの味”だったのもしれない。蛇足だが、時勢とはいえ(?)公務員職をよくもこれだけ頻繁に転々できるなぁ・・・。
2014/03/27
onasu
NHKドラマ「坂の上の雲」では、西田敏行さんが演じておられましたが、表紙の写真とパッと見、似ていなくもない。 日本史では、二・二六事件の凶弾に倒れ、というのが有名ですが、標的とされるには、それ相応の事由がある。その辺りは下巻にてか? 上巻では、少年期、米国で奴隷扱いになってしまったところから、英語教育、工業所有権制定を経て、日本銀行に職を得るまで。 波瀾万丈だが、テンポは軽快。ただ、焦点の当てどころに、やや違和感が残るのと、日銀本店建設などでの具体的な業績が安っぽ過ぎる。ホントなら致し方ないが…。
2013/07/26
R
高橋是清の生涯を描いた小説。上巻では、幼少期から実業家になるまでの部分。逸話でいくつか知っている話があったものの、伝記の形で読むと、またその年齢と事業の大きさを考えると、とてつもない傑物だったと驚かされました。上巻だけでも、高橋是清という人がどうはぐくまれたかということが伝わり、その事業の凄さが垣間見れて、大変面白い小説でした。
2014/02/05
BluePlanet
★★★★★ 2013年6月30日発行。素晴らしい本に巡り会えた。幸田さんの本はこれまで、何冊も読んでいるが、この本はそのどれとも比較にならない位素晴らしい。1854年生まれの高橋和喜次(後の是清)。明治維新の前年1867年、わずか14歳にして米国へ。その後、英語教師、役人、翻訳業、35歳で特許局長。その後、ペルーでの鉱山経営失敗後、日銀建築所事務主任を経て、39歳で日銀西部支店長へと、紆余曲折・波乱万丈の人生の前半部分。正義感が強く、自分の信念を曲げない生き方に、多くの知遇を得る。下巻が非常に楽しみだ。
2013/12/15
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