天佑なり 下 高橋是清・百年前の日本国債
天佑なり 下 高橋是清・百年前の日本国債 / 感想・レビュー
KAZOO
後半の中心はやはり、経済関連の話題が多くなり著者得意の国債の話も出てくるのでかなり力が入っているように感じました。是清が八面六臂の活躍をする様子が描かれています。日銀総裁、大蔵大臣、総理大臣を経験して2.26の兇刃に倒れます。惜しい人材でした。なくてはならない役割を果たしたということなのでしょうね。どうも読んでいて是清というと西田敏行さんの顔が浮かんできます。たぶんドラマの「坂の上の雲」の影響でしょうね。
2016/10/12
クリママ
日露戦争。戦争には莫大な費用がかかることに気づかされる。日銀副総裁の是清が、そのためのロンドンでの外債発行に成功する。その後、大蔵大臣となり、政治にかかわっていくことになる。海外を知り、国のため善かれと信じることを、私心なく、真っ向から語り、突き進む。まだ11歳だった横浜時代からの人脈も、彼の人柄によるものか。残りのページが少なくなる。それは二・二六事件が近づいているということだ。自身の日記や緻密なメモなども参考に書かれた作品。外側から見た是清像は少ないが、その魅力的な人柄、功績を知ることができた。
2019/07/25
Willie the Wildcat
相場を原点!?となる金融界。日々の学びが粗さを削る。竹を割った性格と童顔(?)が識者を魅了。日露戦時の外資取得が真骨頂!特に、海外を相手の交渉力を身につける過程が興味深い。人間性に基づく人間関係。1人1人との出会いが糧。賛否両論の施策もあるが、”最期”まで一貫した時勢に屈しない姿勢も潔い。念頭は常に国!金融を軸とした大戦を振り返る視点。確かに『天佑』とも言えるが、そればかりでもあるまい。蛇足だが、品と直の凛とした言動に、少なからず哀しさともどかしさを感じる・・・。
2014/03/29
onasu
日露戦争の戦費調達のための外債発行。教科書などでは、サラリと触れられるだけのところに壮大なドラマがあった。その筋書き、正に「天佑なり」 昨今、財政再建などで、よく名前のあがる高橋是清。日銀西部支店から始まった国家財政への関与は、後にメチャ振りとも言える海外での戦費調達へ。何の勝算もなく倫敦へ向かうも、人脈を拡げ、債券発行の糸口を探り、終には成し遂げる。 後に、蔵相を七度、総理大臣にも。富国と節度ある国防を国際的見地からも求めたが…。 氏の軌跡を辿ることで、識見を得なくては。時は進んだのだから。
2013/07/28
Yunemo
読み応えあり、感じ応えあり。変節を知らずに、いやせずに、全うする気概に感じ入りました。今の国家にこのタイプの人間がいない。経済の世界と政治の世界、国家を国家足らしめんとするのは、このバランス。本来弱小国である日本が、それをわきまえもせずに、自分だけの道を進む。このあやゆさというのは、どこか日本人がそれぞれに持っている特質なんでしょうかね。「人として」の面でもきちんと生き抜いている。国家観と倫理観とのはざまは? 「品」、「直」のすごさも胸に染み入る。描き方によっては、難しいけど、やはり「コレキヨ」は偉大。
2013/06/30
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