将軍の象 採薬使佐平次 (単行本)
将軍の象 採薬使佐平次 (単行本) / 感想・レビュー
アルピニア
佐平次が公儀象係に任命され、長崎から江戸へ向かう物語。実際にあった象道中を題材にしている。上役の気持ちを慮り、象を江戸に行かせまいとする者、目的は違えど守ろうとする者、さまざまな思惑が絡み壮絶な攻防が続く。吉宗の一言が大勢の人そして象の運命を変えてしまった。佐平次は、役目を忠実に果たしながらも納得できないことは抗議する。彼のお役目に対する微妙な距離感は、本来の採薬使の仕事に対する熱意によって支えられているのかもしれない。象と心を通わせる場面では頬が緩んだ。このような悲しい最期ではなかったことを祈りたい。
2021/05/20
kei302
ゾウの聖天が表紙に描かれた単行本で登録。 いつの時代も「上」から降りてくる、漏れ伝わってくる天の声に過剰に反応する人間がいる。 何のために守り、誰の意思で争っているのか。巻き込まれた人、そして、二頭のゾウが哀れです。平谷さんのこの作品は『御掃除之者』とリンクしている。採薬使佐平次、格好いいです。
2022/03/17
柊龍司@中四国読メの会&読メ旅&読食コミュ参加中
前作が結構気に入っていたので嬉しいシリーズ化。採薬使として、隠密としてという佐平次が将軍に献上される象を巡って各藩の暗躍をどう止めるのか、象を日本に輸入して長崎から江戸まで徒歩で運ぶというのは確かに大変だったろうなぁ。それにしても将軍ともなるとヘタに口に出したことで一大事になっちゃうよという話。象と佐平次の交流が泣かせますね
2014/01/28
あっこ
「絶大な権力を持つ者の何気ない一言が、多くの者たちの運命を翻弄してゆく」…その中での一番の犠牲者は、聖天だった。なんてかわいそうな結末なのだろうか…象に対しての感情はいろいろあるけど、物語としては読み応えがあった。
2014/02/26
tako
シリーズ2作目。将軍吉宗に献上するために唐からやってきた象を佐平次らが長崎から江戸まで運ぶ話。史実を元にしているのでその行程に当たる各藩の対応など象の道中の描写は説得力があって面白い反面、全体的な敵味方の構図が分かりにくいのでその行く手を妨害する相手との佐平次たちの決死の戦いの部分は何が起きているのか判らずスッキリしない部分もあった。また、いくらエンタメとはいえ、最後の江戸城内での騒ぎはちょっとやり過ぎでは。ただ、その後の終わり方は遠い国から来た象を慈しむ気持ちが篭っていてよかった。
2016/03/21
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