愛の国 (単行本)
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愛の国 (単行本) / 感想・レビュー
あじ
痛いぐらいのスコールをも、スポンジのように吸い込む砂漠のように。乾きにひび割れた唇から滲む血を重ねても、決して交わらぬ定め。圧倒的な太陽のエネルギーと底無しの大地。不毛の砂漠に寄る辺のないオアシス。中山可穂が描くビアンの夜は、20年間も緑の草木一本生えない。年月ばかりが過ぎ市民権を得られない同性愛。神をも欺く背信なのか。果敢にも性の尊厳を叩きつけた本作。20年目にして三部作の最終巻だ。始まりであって終わりではない。著者自身が渇きに飢える限り、また違うアプローチで攻めるだろう。その攻めを私も求めて止まない。
2014/04/30
巨峰
ずっと待ちに待った中山可穂さんの新作はなんと猫背の王子、天使の骨に続く王寺ミチル三部作の最終篇でした。が、読み始めてかなりの驚きがありました。ケッヘルを経たこの10年の作者の集大成的な小説だと感じました。
2014/03/23
そうたそ
★★★☆☆ 「猫背の王子」「天使の骨」に繋がるシリーズ三部作の完結編。個人的に言えば、このシリーズは大して好みではなかったので特に感慨深いわけでもないが、中山可穂さんの久々の新作という意味では非常に感慨深いものがあった。シリーズ前二作は読むのを途中でやめたくなる感じさえあったが、この作品は中山可穂さん自身が作家としてより成熟した感もあり、シリーズ完結編としてだけでなく、作家中山可穂の集大成のようなものさえ感じさせる力作であったのではないかと思う。ただ、このシリーズやっぱり苦手だと改めて感じる部分も多少。
2014/04/15
ちょん
「王子ミチル」三部作の完結編。すごい独裁政治時代の日本。同性愛者の迫害を続けるネオナチたちと戦うレジスタンスたち。人のために生きる尼僧の信念のすさまじさ。もう一度、前作を読まねばならない気持ちにさせられた。
2015/11/03
まこと
可穂さんの新作を読める幸せとミチルに再会出来た喜びを噛み締めつつ読了。どのくらい涙を流しただろう?早く続きが読みたいのに読み終えたくないジレンマは正にシズとベアが巡礼を終わらせたくなくてゆっくり歩むのと似ていますね。長い長いミチルの三部作が終わった時まるで巡礼を終わらせたような達成感と喪失感で放心状態になってしまいました。ミチルだけでない久美子のマリアの静慧尼のベアトリーチェの静流尼の壮大な愛の物語。愛の国を見付けるために何度でも読みたいです。
2014/03/12
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