代償 (単行本)
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代償 (単行本) / 感想・レビュー
🐾Yoko Omoto🐾
伊岡作品初読み。両親を火事で失ったのち遠縁の家族に引き取られ、理不尽極まりない生活を余儀なくされる主人公。大人になって尚、その呪縛から逃れられぬかのように、弁護士として改めて彼らと真っ向から対峙することになる。極悪非道、鬼畜、人間のクズ、罵倒の言葉をいくつ並べても足りないほどの悪人親子に猛烈な不快感を覚えながら、こんな悪がのさばっていいはずがないと、頁を捲る手が止まらなかった。その憤りの一方で、主人公を取り巻く人物たちの温かさには本当に救われた思いがある。最後までハラハラドキドキさせられる一気読みの秀作。
2016/06/23
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
伊岡作品、初読みの一冊。小学生の頃から継母と交わり、自らの手は直接汚すことなく、巧みに立ち回りこれでもかと言うほど狡猾に周りの者を不幸に貶めていく。気色悪い、胸くそ悪い、どんな否定的な言い方でも言い尽くせないような化け物。タイトルにあるどんな“代償”が用意されているのかそれだけを頼みに読み進めたが、えっ?それが彼がこれまでしてきたことに対する代償なの?これでもかと言うスッキリ感を期待していただけに、ちょっと肩透かしの感も。どうなんでしょう、もう何冊かは同氏の作品、読んでみようかとは思いますが…。
2022/01/04
きさらぎ
久しぶりに救いようのない人物に出会ってしまった。圭輔のように生真面目な人間よりも達也のようにうまく人生を切り抜けている人のほうが実は多いのではないだろうか。言葉巧みに優しい嘘で相手を取り込み、誰もその正体に気付かない。気付いた時には弱みを握られもう離れられなくなってしまっている。天性の悪党だ。その反対に、無償の愛を注いでくれる人達がいるから、絶望的な世界でも圭輔は生きていくことができた。家族以外で、なにひとつ、ただの一度も見返りを求めずに笑顔でそばにいてくれる人に出会えるなんてほとんど奇跡だ。
2016/09/19
小説を最初に書いた人にありがとう
始発を待つファミレスで一気読了。冒頭から不快で不愉快な登場人物「遠縁の道子・達也親子」に翻弄され人生を狂わされていく話。なんで逃げられないのか、避けて通れなかったのか。歯痒い思いで読み続ける。いろんなミステリーの中で達也ほどの悪人は居なかった。それほどの存在感。最近ではクリーピーの隣人を軽く凌駕した。達也と交錯してしまった為に起こる主人公の圭輔の人生が 辛すぎる。「代償」とは誰のことだったのか。とんでもなく気分の悪い話なのに、どうしても止められない一冊。一点どうしても気になる齟齬がある気がしながら読了。
2016/07/23
reo
前半は「でっちあげ」「モンスターマザー」福田ますみ(著)を読んでいるようで胸糞が悪くなった。根っからのクレーマーや悪意を持って日常生活を過ごしてる奴は我々の身近に居るのです。交通事故や何らかのトラブルに出くわした場合、以前に比べ、ヤクザは暴対法があるので幾分増しになりましたが、厄介なのは半グレです。マインドコントロールといえばそうなんだが、腹が立つほど上手に事をすすめていきます。この本は納得です。かなり面白い。最後ですが、道子は当然として、達也にはもっと多くの代償を支払ってもらわないと収支が合いませんね。
2016/10/25
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