宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源 (ノンフィクション単行本)
宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源 (ノンフィクション単行本) / 感想・レビュー
非日常口
Ⅲ,Ⅳ部中心に読む。中世は、見えないが確かにそこにある何かを信じることができた時代だ。祈りというツールによってその世界に働きかけた。信仰の本質はむしろ見えない事柄をめぐるものである。フスはイエスを長とする普遍的教会こそ真実の教会と考え、真のキリスト教徒は現実の構造悪=悪魔と常に戦いながら生成する動的な存在らしい。原罪をもつ人は弱いため支えを必要とする。その支えが教会の土台となる。フスの焚刑から宗教改革が起こり、大国に挟まれた中欧で民族という概念が萌芽する。2015年はフス没後600年である。
2015/01/12
Happy Like a Honeybee
価値形態論。 商品には貨幣に還元できる価値と、個物の有用性である使用価値の二重性がある。酒を飲んで気持ちよくなるのが使用価値。酒を生産し貨幣を得る事が資本家の関心。 近未来的に日本は国家統合の危機に直面するのか?ハプスブルグ帝国におけるチェコと、日本帝国における沖縄の類比的情況。バチカンと中国には外交関係が存在しない。信仰する人間の内在的論理を掴む?
2015/06/03
amanon
四百数十頁というかなりのヴォリュームだが、著者があとがきで示唆しているとおり内容も相当に濃い。ただ、そのあとがきで「神学書でも、学術書でもない」と述べてはいるが、その両方の要素を兼ね備えたかなり歯ごたえのある書物である。また、タイトルから予想されるような、ルター、カルヴァンによる宗教改革ではなく、主題になっているのは、チェコのヤン・フスとその一派による改革。ここで繰り広げられる当時のカトリックへの批判は今日でも通じるもので、カトリック信者としては正直耳に痛かった。そうした負の意味も含めて読み応えある一冊。
2014/08/10
ゆうきなかもと
気合いのこもった作品。 帯にもある通り「私の持つすべての力をこの作品に投入した」ことが、個人的にはひしひしと伝わった。 また、著者の作品をこれまで熱心に追っかけてきた読者としては、彼の知識体系の中心にあるものが、改めてはっきりと理解できたのは、極めて、有益であったと感じる。
2014/07/27
非日常口
キリスト教徒でないからこそ読むべきなのだろう。宗教改革からドイツ三十年戦争、ウェストファリア条約へにより、宗教戦争は民族自決と言う別の信仰を元に、国が動き出す。その前段として本書の出す背景は興味深い。近代以前=神中心、近代=人間中心という誤った二分法だけでは当然だがこれからを考える上で心もとない。だが、しっかり読めきれるかと言うとやはり正直飽きてしまう。ゆるゆると3、4部を何度か読み直せたらと思う。
2014/04/25
感想・レビューをもっと見る