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翡翠色の海へうたう

翡翠色の海へうたう

翡翠色の海へうたう

作家
深沢潮
出版社
KADOKAWA
発売日
2021-08-31
ISBN
9784041110799
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翡翠色の海へうたう / 感想・レビュー

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モルク

派遣社員で小説家志望の主人公が推しのkポップアイドルが元慰安婦を支援していることをきっかけにそれを題材にしたいと沖縄へ。しかしそのテーマは相当の覚悟がいることを知る。それと朝鮮から慰安婦として沖縄に渡った女性の話と平行に進む。彼女たちは男たちの欲求のはけ口の穴となる。1日に何人もの男の相手をし、時には殴られただ時の過ぎるのを待つ。そして当時沖縄であった様々なことは当時を知っている人が少なくなったこともあってオブラートに包まれる。歴史を正しく知るのは大切。だが土地の人間でない者が掘り下げて書く難しさも知る。

2022/11/27

のぶ

薄くて軽い本だけれど、内容は重いものが詰まっていた。本作には“私”と“わたし”が登場する。“私”は、主人公の河合葉奈。派遣社員で冴えない日々を送りながらも、作家を目指している。あるきっかけで戦時中の沖縄を舞台に作品を書こうと決める。しかし取材を進める中で、イメージしていた女性たちの姿と、証言者たちが語る彼女たちの姿に乖離がある事に気付く。そこで当時の慰安婦として仕えていた“わたし”が登場する。慰安婦の話は読んでいてとてもつらかった。戦争がなければこんな事は起きなかった。平和のありがたさを改めて痛感した。

2021/09/21

sayuri

ひたすらに重く苦しみを伴う作品だ。慰安婦の事をある程度知っているつもりだった。読み進むに連れ自分の認識の甘さを思い知り、知っているつもりと真実の間には天と地ほどの隔たりがある事に気付かされる。騙され連れて来られた彼女達は、人間扱いされず軍事物資として運ばれて来たという。そして来る日も来る日も男達の穴となり拒む事は許されない。戦争が男達を獣にしたのか?いや、どんな言い訳を並べたとして決して許される行為ではない。二度と会えない故郷の家族を想いながら、翡翠色の海へ向かいアリランを歌う彼女達の姿に涙が止まらない。

2021/09/14

もぐたん

ページを捲るのが辛かった。内臓を鋭い爪で引っ掻かれるような痛みを伴う読書時間だった。慰安婦として連れて来られた異国の海の色と、祖国を想いながら胸の中で歌うアリラン。甘いコンペイトウと、残酷な現実の対比。心を殺して体を生かすしかなかった女性たちが存在したこと。作者がこの作品で伝えたかったことの全ては受け止めきれないかもしれないけれど、あの時代に確かにあった「わたしの物語」は、しっかりと胸に刻まれた。沢山の涙を包み込んだ翡翠色の海は、今も同じ輝きでそこにある。★★★★☆

2021/12/02

万葉語り

地元の新聞の書評を読んで図書館で借りた。美しいタイトルとは裏腹な、沖縄戦当時の朝鮮人慰安婦の凄惨な扱われ方と、それを取材して小説家デビューしようとするIT企業の非正規社員の物語が並行して語られる。悲しいアリランの歌声が胸の奥に響いて辛くてたまらなかったけれど最後まで読んで、でもどうしようもない無力感を感じた。2022-53

2022/05/01

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