俺と師匠とブルーボーイとストリッパー
俺と師匠とブルーボーイとストリッパー / 感想・レビュー
鉄之助
表紙の絵と、絶妙なタイトルの文字バランスに惹かれ手に取ったが、大正解だった。舞台は”最果ての街”釧路のキャバレー「パラダイス」。これだけで、面白そう。ワクワクしながら一気に読んでしまった。装丁のイメージ通り、”昭和のキャバレー”が満載だった。シャンソン界の大御所と前宣伝のソコ・シャネルが、私にとってのお気に入り。「ドン底から這いあがる」からソコ・シャネルなのだ。「口を開ければ内臓も凍てつきそうだ」。年末の凍れる(しばれる)寒さが、文章から十二分に伝わってくるからこそ、人情の温かさが心にしみた。
2024/02/01
starbro
桜木 紫乃は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 昭和50年、場末の釧路のキャバレーの物語、著者ならではの懐かしく猥雑な世界観、堪能しました。グランドキャバレー全盛時代の昭和40年代は、子供だったので、一度グランドキャバレーの世界に足を踏み入れたかったです。 https://www.kadokawa.co.jp/topics/5471
2021/04/18
しんごろ
1970年代、釧路のキャバレーが舞台。下働きの章介とゲスト三人が寮(ボロ平屋)で奇妙な共同生活。やることがメチャクチャだけど楽しそうで、読んでるこちらも仲間に入ってる気持ちになる。携帯、スマホなどの通信機器がない時代、そこにはコミュニケーションがあり、強い絆が生まれ、こんなに人との繋がりが素敵なものなのかと思う。この三人と一緒に生活してたら、別れる時は、章介でなくても寂しさを感じて泣いてしまう。心がじんわりする。この物語の登場人物達が自分の心の中に思い出として残りそうだ。【サイン本】
2021/03/31
青乃108号
時代は昭和。ここは北海道のキャバレー「パラダイス」。年末年始の興業に集った師匠(マジシャン)とブルーボーイ(シャンソン歌手)とストリッパーひとみと下働きの俺。それぞれ訳有りの4人の、束の間の触れあいと別れを笑いを交えて描いた人情の物語。人生って色々だなぁ、としみじみ感じ入る、良い本だった。興業を終えて、駅での3人と残される俺の別れの場面が切ない。俺が俺自身に重なる。俺は一体、何をやって来たんだろう。何をやろうとしているんだろう。
2024/05/03
美紀ちゃん
2021年のベスト本にこの本を上げている人がたくさんいたので気になり読んでみた。お父さんの納骨がお見事すぎて驚いた。シェアハウスって色々あるけど楽しいと思う。それぞれの人生の話とか、フラワーひとみの娘とか、膝を病院で19針縫ってもらうとか、寮の全焼とか。このままパラダイスに残るか?やりたいことを見つけるか?人生の岐路。お母さんも余裕がなかった頃に比べると落ち着きいい人だった。墓参りできて良かった。 東京で暮らすようになってから師匠に巡り逢えた時に、話したいことが沢山あって想いが溢れる様子にグッときた。
2022/01/22
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