月 (角川文庫)
月 (角川文庫) / 感想・レビュー
坂城 弥生
意味不明な妄想の話で最後まで読むのは無理でした。
2021/04/20
どぶねずみ
「津久井やまゆり園」事件を思い出した。私自身に社会的弱者に対する偏見が全くないと言ったら嘘になる。自分は障がいをもつ人たちに対してどう接して良いのかがわからないし、接する機会もこれまでになかったから、つい目を背けがちだ。本書には下品で汚いシーンも数多く表現されているし、知能を表現すべく漢字を積極的に避けた書き方も目立ち、非常に読みにくく、何度も挫折しそうになったが、自分が一社会人として避けてはならないことと認識し、親の介護などの将来を見据えて読み通した。施設運営に携わる方々が少しでも楽になるよう祈る。
2024/07/22
ちょん
やっと読み終わった!読み切るのに時間がかかってしまいましたが読みたかった本。相模原の事件をモチーフにしてるんだよね?文中にもあったしあの事件の本当に怖いなと思うのは犯人が「悪意は無い、善意でやった」ことだと思ってます。怖くてこの事件を直視できない。そう思うと、本作の散文のような書き方は読みにくく分かりにくかったけど良かったのかも、だってそれが人の気持ちと考えなのだし、言葉でキレイに分かりやすくまとめれるものじゃないもんなぁ。映画もどうなってるのか見てみたい。そしてタイトル。良きです。
2023/11/11
Tomomi Yazaki
読む前と読んだ後で自分がどう変わるのか不安でならない。本書を読むにはそれなりの覚悟が必要です。意思表示の出来ない人間。看護者の暴言や虐待もまた、彼らにとっては得難いコミュニケーションのひとつ。痛いけど嬉しい。何もできないより楽しい。そして彼は実行に移す。優生思想の具現化として。彼は狂ってはいない。狂人が総理大臣に手紙は出さない。その総理も凶弾に倒れたが。やったことは殺人でも、生まれる前に殺すか、生まれてから殺すかの違いだけ。昔の見世物小屋は、今はパラリンピック。そう、本書は稀にみる傑作なのです。
2024/02/07
ブラックジャケット
重度障がい者という存在にきちんと向き合うことはキツい。著者はキーちゃんという、寝たきりで眼も見えず話すことも出来ない重度障がい者の内面を借り、モノローグで小説世界を切り拓いて行く。手法は驚くべき仕掛けがある。ひらがな、カタカナを多用し、読みにくくならないように漢字を配置するオリジナリティの高い文章だ。キーちゃんの心象風景に頼りつつ、他の視点に乗り移る柔軟性もある。モデルとなった津久井やまゆり園の虐殺事件のさとくん視点で、語る世界は慄然とさせられる。心がない人と断定されたキーちゃんの物語は「月」そのもの。
2023/11/18
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