かぞえきれない星の、その次の星
かぞえきれない星の、その次の星 / 感想・レビュー
starbro
重松 清は、永年に渡って新作をコンスタントに読んでいる作家です。本作は、作家デビュー30周年、純粋な新作の短編集でした。内容は、多少児童向きなのに野生時代に連載していたのは何故でしょうか? オススメは、『コスモス』&『花一輪』&表題作『かぞえきれない星の、その次の星』です。 https://www.kadokawa.co.jp/topics/6410
2021/10/05
いつでも母さん
久しぶりの重松作品。どれも重松さんの世界だった。優しくて・・ただ優しいだけじゃなくて、切なかったり考えさせられたり、やっぱりそこはかとなく哀しく優しい11の物語。キリリと刺さる思いもある。自分はどっちだ?省みるにつけ心当たりもある。人生の折り返しをとうに過ぎ、幸せな思い出も消えることない悲しみも、みんなみんな抱えて生きて行く。『会いたいと思えばーその人の顔を思い浮かべれば、もう、会えているー。』ほら、会いたい人がどんどん増えて・・会いたいよ。
2021/10/13
machi☺︎︎゛
うーん、何だろ。決して明るいテーマだけではない短編集なんだけど、読み終わったら気分がスッキリして前向きになれる本だった。コロナや天災や恵まれない家庭環境、様々な苦難の中にいる人々、だけど「生き物はみんな、与えられた条件で生きていくしかないんだから」。11話の短編集で全部、重松清さんだなーと強く感じながら気持ちよく読了。分かりやすく噛み砕いて子供にも聞かせてあげたいような話だった。
2022/03/09
hiace9000
数多くの重松作品の根底にあったもの…。そうか、それ、「さみしさ」だったのか…。明るくって元気なさみしさ、さみしさがつくる明るさや元気。さみしくって明るい人や元気でさみしい人、そんな巷にいるフツーの人を静かに見つめ、その心をそっと掬い上げ綴ってきた重松さん。世にコロナ禍の閉塞感が満ち満ちていたあの年を月連載の別作品でつなぎ、どこか懐かしさとともに涙腺に作用するこの味わい。深みを増す円熟味は作家としての人間味そのもの。寓話的作品「花一輪」も異色ながら良かった。"その次の星"、また明日私も見つけられるだろうか。
2023/05/26
ウッディ
コロナ、いじめ、亡くなった人への想いなど、苦しくて寂しくて、辛い気持ちを寓話風に描いた短編集。日本語が上手く話せず、周囲から浮いてしまいながらも、前向きで明るいブラジル人の母と娘を描いた「コスモス」、父の再婚でできた新しい「ママ」と「お母さん」に対する娘の想いを描いた「送り火のあとで」は印象的で、涙がこぼれてしまいました。重松さんらしい優しくて、すこし説教臭い物語の数々は、夜空で寂しく光る星のようでいて、色んな出来事を経て輝きを失って地球に落ちてきた星のような、きらめきと悲しさを纏っているようでした。
2022/04/15
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