絵が殺した (角川文庫)
絵が殺した (角川文庫) / 感想・レビュー
修一朗
好物の黒川先生の美術もの。美術業界の複雑な内情は面白いねー。特に日本画の場合贋作と知りながら画商とコレクターがババ抜きゲームをするってとこ,土地ころがしと同じだ。今回は贋作だけのネタで構成はシンプルでした。科捜研を使った捜査は面白かった。特に筆跡鑑定とコンセントとかね。怪しげな画商が次々現れてほんとにみんなワルでワルの多層構造になっているのが初期の作品らしいところ。このトリック,難しすぎて現在だったら計画できないね。堪能しました。
2023/07/30
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
黒川さん、初期の作品の新装版。竹林から発見された死体は、海で転落死したはずの日本画家。事件の謎を追う大阪府警の吉永と少し頼りない新米刑事の小沢のコンビ。これに絡んでくる怪しげな画商矢野のキャラが良い。解説では「明石家さんまさんに演じてもらいたい」とあったが、まさにそんな感じ。贋作を巡る絵画の闇の世界。まさにバブル期らしいテーマです。事件の謎は二転三転、最後はそう来たか!という感じでした。面白かったです。★★★+
2021/05/01
kei302
1990年出版の作品。絵画バブル最盛期にあたる時期。竹の子が死体を掘り起こした冒頭からガッチリ読者の好奇心をつかんで離しません。怪しげな人物が次々と現れ、犯人の見当はつくけど、過去の出来事と贋物が絡み、金沢へ、山口へ。 誠やんも文ちゃんも総長も大忙し。「あんたの手錠やったら そう痛うないような気がしたんや」妹思いの犯人。ラスト、持って行かれましたよ。ウエットにならないのも好ポイント。解説:新井順子(映像製作会社プロデューサー)映像化?書影が出ない。おいしそうな苺by黒川雅子作。
2021/04/27
とろこ
ケイタイやPCが普及しておらず、司法解剖にも限界があり、DNA検査もなかった時代の推理小説。作中で起きた事件は、現代の科学捜査をもってすればすぐに解決できるであろうもの。けれども、逆にそうしたものがなく、昔ながらの「刑事の勘」や「現場百ペン」「デカは脚で稼いでナンボ」的な感覚が懐かしい。また、所轄と本庁や、キャリアとノンキャリの争いがほとんど描かれないので、ストレスを感じずに読める。個人的には大阪府警シリーズでは文と総長コンビが好きだけれど、これはこれで良かった。
2022/01/12
キムチ
裏付けを見ると第一刷1990年のやつ。綴じが剥がれ気味、愛読されたのが解るというもの。初期の黒川先生がリキ入れたのが解りすぎ~トリックが細かすぎ、出来すぎ。まぁ、それだけ犯人の殺意に至る想いが濃いという事か?必然的に一人の人間がキャラ的に突出させられてしまったことでネタバレになったキライは否めない。誠ちゃんとデコの会話で「こんな盛りだくさんの推理小説あるかぁ」には笑ってしまった~先生自身が思っていたんだ!だが贋作の世界をお勉強できたし、「折り紙付き」の由来を知ることが出来た✨
2022/03/06
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