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忘らるる物語

忘らるる物語

忘らるる物語

作家
高殿円
出版社
KADOKAWA
発売日
2023-03-10
ISBN
9784041113929
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忘らるる物語 / 感想・レビュー

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ゆみねこ

献本で当選!読書メーターさんに感謝です。辺境の王族の娘・環璃(ワリ)は幼い息子を人質にとられ、見知らぬ王の子を産む道具として旅に出る。そして途中で賊から助けてくれた不思議な力を持つ女戦士チュギと出会う。常に暴力で支配される女の悲しみ、環璃が目指した世界。砂漠の国が舞台なので中央アジアをイメージして読み進めた。

2023/02/22

がらくたどん

大国とその支配に甘んじる中小国で構成された世界で一族を殺され幼子を人質に取られた辺境国の年若き王妃は主要藩国の君主と順番に「子作り」を試す旅を強いられる。設定だけで頭から湯気が出そうだが、物語は男女の仕組まれた不平等を基底に支配と被支配の共犯関係へと鋭く切り下げられ、作者の筆は安易な蒸気の噴出を許さず読者はさながら圧力鍋状態に。神話とも言えそうな寓意に満ちた物語を通して人類史に点在する支配のカタログを見せられた上で私たちが「忘れた事」にしたかった「人の獣性」を突きつけられる。さて、どこまで煮崩すかだ♪快作

2023/04/14

33 kouch

月夜の晩の光満ちたような幻想的世界が続く。巡り歩く各国にRPGさながらの個性がある。人を高いところから落として裁く鳥の国。月日ごとに国民のやることが全て統一されている国。FFやゼルダの世界に迷い込んだ気持ちになる。 ストーリーは無力で力弱い者が「確神」の民との出会いを通じて運命を切り拓く話。 宿る「確神」にも個性があって良い。ここもファンタジー要素がある。弱い確神でも工夫して活躍している者がいて面白い。所々に名言も多い。「人にとって最も強大な敵は忘却されること」...

2023/02/20

itica

上橋菜穂子さんを思わせるような異世界ファンタジー。装丁が美しい。次の王となる男児を産むことを定められた環璃(ワリ)。男により支配された社会で環璃は何を考え、どう生きたのか。スケールが大きく難しく、読み終えるのに時間が掛かってしまった。何を持って人は幸福と思うのだろう。何故争うことを止めないのだろう。争いのないユートピアは人類永遠の憧れかもしれない。

2023/03/22

えみ

これは、終わりに向かって始まった物語ではない。始まって始まってそしてまた新たに始まる終わりのない物語なのだ。「神は美しく、ひとは醜い。神は尊く、ひとはいやしい」禁忌が凍り付く信仰と、棄教が絶望の深淵で見せたもの…そこにあるのは沈黙で、尊厳を唾棄する人々に降りかかるのは打ち砕かれた目算。人は不遇をわかっていても、祈らずにはいられない。一族を刈られ、幼子を人質に取られ、権力者の子を産むことだけ求められ、褥に立たされる生贄となった女が選んだ未来。創造の果てに支配される生命が不自然さを織り成すダークファンタジー。

2023/03/21

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