妖奇庵夜話 ラスト・シーン (角川ホラー文庫)
妖奇庵夜話 ラスト・シーン (角川ホラー文庫) / 感想・レビュー
モルク
ついにシリーズ最終章。青目そして鵺との対峙と決着が…青目の執着したものは伊織、伊織が払った代償、歪んだ家族…そんななか脇坂の成長は嬉しい。ほっとすると同時に寂しさがこみあげる。余韻のある終わり方だった。
2022/10/28
本詠み人
本編決着巻…ラストシーンには無償の愛を。切なく悲しい…けれど、これ以上の決着はなかったと思う。前巻の流しそうめんがずいぶんと遠くに感じる。ちょうどコミックペーパーにその様子が…描かれた面々は私の想像とはちょっと違ったけど、和気あいあいとした雰囲気は懐かしく嬉しかった。「あって当然だと思うすべてのものは、永遠ではない。むしろいま自分の手にあることが奇跡なのかもしれない」目の前の愛しいものを大切にすることを忘れてはいけない。この手から零れ落ちぬように…大切に、大切に。
2021/10/14
眠る山猫屋
読み切るのが惜しくて随分寝かせてしまった。無駄もなく美しく読み易い文章、登場人物たちの際立った存在感。その中で妖しく揺れ動き正体を見せない鵺の脅威。いつの間にか忍び寄り、人々を操る怪異のような鵺。そんな敵の裏を画き、迎え討つ事はできるのか。脇坂刑事が倒れ、小鳩ひろむが人質に取られ、裏切り者さえ現れる始末。けれど青目が甲藤が立場を入れ換えつつ、結果的に鵺を追う妖奇庵の面々に協力を惜しまない展開はすごい。前半にあるこれまでの事件の経過もさりげなく語られている親切さも凄い技量。切なさの薫るラストシーンも、また。
2023/03/30
カナン
どこをどう切り取っても全てラスト・シーン。最初で最後の一瞬。私が見た最後の貴方が、微笑ってくれていますように。私が最後に見た顔が貴方で良かったと、そう信じられますように。貴方が犯した最後の罪が、私を自由にしてくれる罪であり続けますように。…はー、まだ胸いっぱいで感想が言語化できないよ。泣きたいのに泣けないこの感じ。夷ー。脇坂ー。甲藤ー。マメー。おかえり。そしてただいま。変わり続ける時の中で出逢えたことを、今も繋がっていられることを、尊い奇跡だと云うことはまだ許されるだろうか。おかえり伊織、おかえり、――。
2021/09/09
真理そら
7・8・9巻は連続した物語。脇坂君に春が来たり大けがで意識不明の重体に陥ったり、青目と伊織の父親が登場したり怒涛のような展開だったが、最後は静かに茶室で大団円。「ラスト・シーン」とはそういう意味だったのか。ブラコンをこじらせ過ぎた青目が落ち着くためにはそういう形の独占が必要だったのかもしれない。血腥い事件の多いシリーズだったのに静謐で安らかな読後感なのが不思議だ。
2024/07/16
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