怪奇小説集 蜘蛛 (角川文庫)
怪奇小説集 蜘蛛 (角川文庫) / 感想・レビュー
ehirano1
標題作について。情景がリアルにイメージ化できてしまう記述が素晴らしくもリアルに恐ろしいです。流石著者の筆力!って、ホラーも描かれていたのですね。
2023/06/30
活字の旅遊人
「共犯者」の方を先に読んでしまったが、こちらの方が怪奇具合が強い印象。飽きさせない配列で短編が並ぶ。それは、遠藤周作自身の体験談から入る。リヨンの話は「共犯者」にもあったが、熱海の話はかなりゾクゾクできた。そこにユーモアを挟んでいくのも、流石。それ以外の作品も怪奇ものとしても、社会派小説としても読める良作揃い。偽作家ネタが二編あって、人気作家の心の叫びではないかと感じた。あとは帰還兵ネタもよい。時代を感じるとともに、日本人としては忘れてはならない話だと思った。マイベストは、「鉛色の朝」。
2021/11/04
かんらんしゃ🎡
恐いと言ってもいろいろ。科学で説明つかないもの。危害を加える生き物。人の業の恐ろしさも。この本にはそのいろんな怖さがある。中にはだまされたーって笑っちゃう話もあって、まあ書いてるのが狐狸庵先生だもんね。どんなにルポ風に書かれていても、化かされないよう眉唾で読まなくちゃ。
2021/11/18
そふぃあ
エッセイ調の「三つの幽霊」や、読者や知人の投稿を元にした「針」「ジプシーの呪」など、怪異がテーマの短篇集。遠藤周作といえばキリスト教をテーマにした作品のイメージが強くて、こういうホラーテイストな連載を文芸誌に載せていたのは知らなかった。そしてコミカルな感じも意外。幽霊屋敷探検ネタは今も昔も人気なんだなあと思った。妻子が絡む話は生活苦が生々しく感じて少し苦手。「あなたの妻も」は本当にゾッとした。
2021/12/18
Saku
小学生の頃、担任に遠藤周作の『蜘蛛』という話は不気味で怖いと聞かされていたのを思い出した。確かどこかで読んでいるのだがどこでだったか思い出せない。全体的に固有名詞が具体的であるためか妙に生々しい。熱海の件とかカメラの件とか思わずネットで検索してしまった。怖さよりも身近に起きたらヤだなと思うような話が多かった印象。
2023/05/30
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