怪奇小説集 共犯者 (角川文庫)
怪奇小説集 共犯者 (角川文庫) / 感想・レビュー
活字の旅遊人
令和三年八月に新しく編集された短編集。没後二十五年、さすがの人気。帯には、「もうひとりの遠藤周作」とあるが、リヨン留学、長崎取材やキリシタン探求、寂しそうな外人、インドと生命など、遠藤周作の作品そのものというネタでありストーリーだと僕は思った。それらが絡まない「共犯者」「幻の女」「偽作」の三つも読んでいてワクワクとハラハラが交錯する楽しさを味わえた。最後の「娘はどこに」は、昨今のテレビ番組とその影響を考えるのにはもってこいの内容。息子さんが某民放の社長な訳で、なかなか強烈な皮肉的メッセージだと思った。
2021/10/30
たぬ
☆4 9編。こんなタイトルだけど幽霊譚ではないです。人間のちょっとした思い込みが招く混乱とか葛藤とかそっちね。キリスト教を見つめた長編も読みごたえがあるけどこういうミステリータッチの短編も好きだな。テレビ番組のヤラセに悩む「娘はどこに」が一番印象に残った。「偽作」「憑かれた人」も好き。
2022/05/30
tomi
講談社文庫版「第二怪奇小説集」を改題して復刊。その元になった作品集が「遠藤周作ミステリー小説集」。日下三蔵氏が解説で「遠藤周作の中では、「奇妙な話」「怖い話」「面白い話」は同じところにカテゴライズされている」と書いているとおり、この巻ではホラー、怪奇小説色は皆無だが、ミステリーやサスペンスとしては秀逸。小説の代作をめぐるミステリー「偽作」、素人研究者が研究にのめり込んだ末に道を踏み外す「憑かれた人」、TVディレクターがヤラセを目論んだが…「娘はどこに」など人間の怖さや弱さを描いた作品が多い。
2024/03/13
Kouro-hou
遠藤周作 怪奇小説集3冊の2冊目。怪奇の意味はかつての広い意味での怪奇で今日のホラーテイストとはちと違う。特に有名な「蜘蛛」などが1冊目に行ってしまっているので、その続きを期待するとまた違ってしまうw なんかちょっと後味悪いな、とかハッピーエンド(主人公に限る)とか、なんかヤバいことになってるかもしれないがまあいいかwとかが多め。たださすが遠藤周作、文章はきれいで山もありオチはアレでも読ませるんである。戦中戦後が舞台だったりしても案外内容は現代的だったりして普遍的で色あせない。
2023/03/12
翠埜もぐら
「怪奇小説集」なのか?「不条理」と言う訳でもなし。「ミステリ・サスペンス」と言うことになっていますが、「怪奇」に分類するんだ・・・? ただどれも非常に短い作品で読みやすいのに、引き込まれて、そしていやーな気分になりました。人間関係がね、嫌な感じなんですよ。狐狸庵先生がこんな小説書いてるとは思いもしませんでした。語り口は好きなんですが。後口が悪かった。
2021/12/05
感想・レビューをもっと見る