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日本アパッチ族 (角川文庫)

日本アパッチ族 (角川文庫)

日本アパッチ族 (角川文庫)

作家
小松左京
出版社
KADOKAWA
発売日
2021-09-18
ISBN
9784041119433
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日本アパッチ族 (角川文庫) / 感想・レビュー

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oser(読書家ではありませんドクシャーです)

小松先生の長編処女作。(自己設定に加えて社会背景をしっかり織り込んで物語を創る小松ismはすでに現れていて…昭和の熱気そのままに完成されている。面白い。ワイも鉄食ってみようかな) …あまりにも奇手じみた設定、ゴリゴリのディストピア感と、もう…紛う事なきSF。(小松先生は奥さんの為に書いた云云、出版社への義理だて云云〜からSFとは銘打たず) 「SF魂」に書いておられた「SFならばなんでもできる」理論が皮肉にもこの作品には如実如実あぁ如実に具現化されているのは興味深く。 …良作であり名作…迷作でもあるんやで

2023/08/16

そふぃあ

コミカルな文体とストーリー進行ながら、"進化の階梯"という『果てしなき流れの果に』のような壮大なテーマを著者が初期から持っていたことに感動した。また鉄化に伴う人間的感情の否定の描写には、人間の情緒というものが本当に必要なものなのか、進化の過程でたまたま発生したものに過ぎず無くなった方が合理的なのか、という哲学的な問いが投げかけられている。後世のメジャーな異形ものと異なり、人間との共存を冷静に否定する見方から結末までシビアだが現実的だと思う。時代は感じるが色褪せない面白さがあった。

2021/10/19

GM職員

60年前に書かれた小松左京の”(S)すこぶる(F)不敵“な初長編作品。読メを始めた頃に感想を拝見して知り、数年越しに新装版をゲット。強烈に面白かった! スクラップ金属を喰い、身体が鋼鉄化した食鉄人種”アパッチ族“。人類の中から現れた新たな種族の、生き残りを賭けた闘争の記録。 荒唐無稽な話でありながら、地に足のついた現状分析と予測に後の『日本沈没』を感じ、地べたに生きる下層民としての、全方位に向けた風刺と皮肉が苦い読後感として残された…。戦後の廃墟をその身で知る人々が多くいた時代の貴重なSFだ。

2024/09/13

猫丸

星新一は角川文庫の黄色い背表紙、小松左京は緑、筒井康隆は新潮文庫の赤だったと思う。わずかな小遣いでこれらの文庫本を買っていくのが中学生わたしの楽しみであった。その中でも小松左京の優先度が低かったのは、タイトルに魅力を感じなかったから。「日本アパッチ族」。宇宙とか時間とかのSF要素からも遠く、奇想と実験を思わせる文学的アクロバットも感じさせない。だから少年時代には読まなかった。今回初めて読んで、改めて小松左京の馬力を感じた。鉄を食う人間なんて面白いんちゃうか、と思っても細部を詰めて長編にするには腕力が要る。

2022/08/23

スターライト

小松左京の初の長篇小説。今年は生誕90年、没後10年で記念のムックも出版された小松左京。鉄を食べるアパッチ族が登場するという本書は、これまでなぜか読む機会がなかった。死刑が廃止された代わりに追放刑が施行されたという架空の日本。就職しないことが罪となり、その刑を受ける羽目になった主人公、木田福一が書いた手記という体裁を採る本書は、戦後20年を経た現実の日本の社会の歪みを奇想天外なアイデアで浮き彫りにしていく。途中から経済的な問題を詳細に語る部分には、小松の博識ぶりを思い知った。アパッチ族の生理的説明も秀逸。

2021/09/30

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